【もっと話そう! Hello Femtech】
今、気になるフェムケアについて
SHELLYさんと本音トーク!【後編】
近年、さまざまな広がりを見せる“Feminine(女性)+Care(ケア)”市場。ただのブームで終わらせず、もっと生活を豊かに過ごしやすくするために、私たちが今、取り入れるべきことや課題とは? 先日、タレント・SHELLYさん、W CLINIC 総院長・足立真由美先生、フェムテック専門商社「アジュマ」PR・山本あやのさんの3人を迎えて都内某所で行われた『otona MUSE』をはじめとする、宝島社6誌合同インスタライブ。今回はライブ中収まりきらなかったからだのこと、性のこと、そして社会に関する3人のおしゃべりの様子を、余すところなくお届けします!
━━━最近話題のセルフプレジャーグッズ。売れ筋は一体どんなアイテム?
山本さん(以下Y) 最も勢いがあるブランドが、セレブリティのカーラ・デルヴィーニュが共同経営者に就任したことでも話題となった「ローラ ディカルロ」。まるで美顔器のようなルックスの「Baci」は、吸引と大陰唇への刺激を同時に行えるアイテムです。
足立先生(以下A) 有名人もそういったことをオープンにする時代なんですね。
Y 歌手のリリー・アレンも、吸引型トーイの先駆けである「ウーマナイザー」愛用を公言していて、コラボも実現しています。
SHELLYさん(以下S) やっぱりクリトリスへの刺激がないと、圧倒的にイケない人が多いみたいですね。
Y そうですね。女性の7割以上が、オーガズムを感じるためには、クリトリスへの刺激が必要であるという研究結果も出ているのですが、世界的に見ても吸引型が人気。コロナ禍で人と会えない結果、トーイが人気になったという背景もあり、いきなり挿入タイプより、吸引型のほうがトライしやすいと感じられる方も多いようですね。
S でもこの挿入型も、とてもシック〜! 部屋に置いておいても何かおしゃれ。
Y それは「love.not war.」というイギリスのブランド。実はこのトーイ、スタイリッシュなだけでなく、リサイクル素材をベースに作られており、パッケージも資源として再利用できるなど、サステナブルな取り組みも徹底しています。
A SDGsの流れがトーイにも来ているんですね。でも正直、こういったアイテム、私は初めて目にしました。
Y 今までは、アダルトビデオの横で“大人のおもちゃ”的な売られ方をしていたので、女性がひとりで行けるようなお店で売っていなくて。アイテム自体も男性向けのものが中心だったんですよね。
S 女性が女性のために作っているブランドが世界中で増えていますよね。
Y そうなんです! 本当にフェムテックブームのおかげで、選択肢も広がったのはとても喜ばしいこと。私たちのショップもラフォーレ原宿内にありますし、デパートでフェムテック関連のポップアップも増えているので、より手に取りやすくなったと思います。
S 今やセルフプレジャーはストレス解消や緊張緩和させることも証明されてますもんね。いやらしいことではなく、とてもヘルシーなことなんですよ。
Y そもそもバイブレーターは医療機器として発明されたものですし、健康ととても密接な関係にあるんですよね。2020年には、ドイツの性科学者チームが、月経時のセルフプレジャー効果について調査したところ、70%もの女性が、生理痛が緩和したという研究結果も出ています。それにより、「マスターベーション(自慰)」と「メンストゥルエイション(生理)」を組み合わせた「メンスタベーション」という言葉も生まれました。
A なんと……! 勉強になります。
S 根本的な話として、自分で触れて気持ちいいところを知るということも、とても大切。アセクシャルな場合は含みませんが、いつまでもパートナー任せで「セックスを気持ちよくない」で終わらせてしまうのは少し無責任かな〜。自分のからだなんだから他人マターにはせず、自らイケることを覚えれば、性欲だって自分でコントロールできるようになる。そうすれば、パートナーがいなかったとしても焦らないし、本当に好きな人とセックスしようと思えるようになるから!
Y 自分を大切にするためのひとつのプロセスにも繋がりますね。
━━━セルフプレジャー同様、フェムテックを語るうえで欠かせないのが膣トレ。美容医療の現場やグッズは何が最前線?
A 美容医療ですと、膣にアプリケーターを挿入して粘膜をレーザー照射する、インティマレーザーがトレンド。肌と同じくレーザーの熱によりコラーゲン生成を徐々に促し、2、3カ月かけてふっくらとした膣壁を作ります。私たちのクリニックでは、これら全てを婦人科医が行うので、その点でも安心。最近では、座るだけで骨盤底筋をトレーニングできる、椅子型の医療用マシンも登場しています。
Y 美容医療にまで膣トレの波が!
A というのも、私自身やクリニックに所属している婦人科医が、産後の尿漏れに悩んでいて。どうにかできないかと、そういったマシンを積極的に取り入れています。SHELLYさんは、産後尿漏れなどが気になったりしませんでしたか?
S それが、全くないんです。
A それはスゴい!!
S 私は独身のころから、膣トレ体操を当たり前に取り入れていたから……。かれこれ十数年膣トレ人生なんですよ(笑)。続けていたら、産後も悩みはなくて。
Y どんなことをしているんですか?
S 何も特別なことはしていないんです。暇なときにキューッと引き締めるだけ。簡単だから本当オススメ。
Y 膣トレをそんなに継続できるのは本当にすごい! みなさん、グッズがないと続けにくいとよく聞くので。
S 私からすると逆にスゴい! でも私、elvieは気になっていて。これこそフェム“テック”じゃない?
Y まさに。スマホ専用アプリと連動して、膣圧をリアルタイムで測定できるんです。そしてそれに応じたトレーニングをゲーム感覚でできるうえ、日々レベルアップしていくのが目に見えて分かります。
A 膣への力の入れ方って意外と難しいから、こういった膣圧を数値化できるのはいいですね。うちの婦人科医は、膣の中に清潔な指を入れ、エレベーターのように上へと引き上げる膣トレを指導していますが、それは、膣ではなく、お尻やお腹に力を入れてしまう方が多いからなのだとか。
S そっか。力の入れ方を間違えてしまうことも多いのね。
Y そうなんですよね〜。そんな膣トレ初心者の方は、膣トレボールもオススメですよ。「JE JOUE」のケーゲルボールは重さや形の違うボール3つがセットになっているので、段階を踏んでトレーニングをステップアップできます。さらにボールを入れた状態で、外から紐を引っ張ると、より負荷がかけられますよ。
S なかなかスパルタ!
S セルフプレジャーや膣トレもヘルスケアの一環と捉えられるようになりましたが、そもそも“婦人科へ行く”こともヘルスリテラシー向上には欠かせないことですよね。
A 美容医療の面から言うと、肌荒れしたから美容クリニックに駆け込んでくる患者さんには、婦人科を勧めることがあります。なぜなら、肌荒れ原因のほとんどが、ストレスやホルモンバランスの乱れ。だから、まずは生活習慣やホルモンバランスなどを整える必要だったりするんです。
Y それって知らない人も多そう。
A そもそも婦人科自体が身近ではないんですよね。先日、私の友人の娘さんが初潮を迎え、親子で婦人科医に話を聞きに来ました。私はこんな風に、もっと“初潮が来たら婦人科に行く”、“ニキビができたら婦人科に行く”といったように、婦人科に行くことを当たり前にしていきたいんです。そうすれば、もっと自分のからだを知ることができるし、いろんな病気やトラブルを未然に防ぐこともできる。そういった経緯もあり、「W Femina Clinic」という美容医療+婦人科クリニックをオープンしました。
S 私も常々、“婦人科を身近にしたい”と考えていて。不安や疑問を感じたら、親を通さずとも相談できる場所にしたい。
Y その点では、スウェーデンが進んでいますよね。医師や看護師などが待機し、若者たちが性やジェンダーに関する相談を気軽にできるユースクリニックという医療機関がある。診療や避妊具なども基本無料で、それが若者にとって“当然の権利”とされている。
A 自分のからだや性についての知識を持つことは、からだだけでなく心を守ることにもつながりますからね。このようなシステムは、私たちのクリニックでも取り入れたいし、普及もしていきたいんですよ。
S とてもいいですね! アメリカも18歳になったら、毎年の婦人科検診が当たり前なんですよ。でも日本は結婚して子どもが欲しいってなったときに、初めて婦人科に行くパターンが多い。
A 生理が重いことを“普通なこと”にしていたら、婦人科系の病気が潜んでいることもあるので、定期的な検診は必須!
S でも正直、日本の婦人科の先生は意識の高い先生と、アップデートできていなくて“起きて〜!!”っていう先生の両極(涙)。
Y いい先生に出会えず、婦人科にハードルが高いと感じている人も多い。
S だから私もみんなに言っています。婦人科で嫌な思いをしたら、すぐに違うクリニックへ行って、と。歯医者さんだって痛いところには通わないでしょ? 婦人科こそ、相性のいい先生に出会えるまでいろんなところに行ってほしい!
トークに参加してくれたのは…
いかがでしたか? 次回は、さまざまな媒体で「フェムケア」企画を担当するライター谷口絵美さんが、実際に使ってよかったアイテムを厳選してご紹介します。
photograph:KAORI IMAKIIRE(model) / styling:SAYAKA NODA(SHELLYさん分) / hair&make-up:NAO MORITA(SHELLYさん分)、MAMI NUMATA[ilumini.](足立先生、山本さん分) / text:EMI TANIGUCHI
otonaMUSE 2022年6月号より