スタイリスト辻直子さんが語る、
「センスのいい人」の定義
今、私たちが欲しいのは、美しいだけでもトレンド感を盛っただけでもない、“ちょうどいいバランス”を備えたセンスを感じさせる顔。そこで“センスのいい顔”の正体と辿りつき方をスタイリスト・辻直子さんと一緒に考えました。
センスのいい顔=“似合う”に辿りつけている顔。
「そもそもセンスのよし悪しって、他人が見て思うことであって、自分で決めることじゃないですよね。では人は、どんな顔にセンスのよさを感じるかといったら、自分によく似合うものを選び取っている人を見たときだと思うんです。“似合っている”度合いが突き抜けてすごい人、自分らしい“いい塩梅”に辿りつけている人がセンスがいいっていうことなのかなと。
じゃあ、“似合う”を見極めるにはどうするか? 自分の“好き”を追求してみることが一番なのかも。誰でも好きなものに対しては貪欲になれるし、“好き”を身につけていたら勝手に似合っていくものだと思うんです。“育つ、育てる”というか。私の場合はミニスカートとハイヒール、ロングヘア。そしてたいして流行っていないときも赤リップを纏いますが(笑)、“好き”を伸ばすとキャラクターができ上がっていく気がします。
あとコンプレックスは、隠そうと躍起にならないほうがいい。隠すほど、不思議とその人本来の素敵さから遠ざかってしまうんですよね。逆にチャームポイントだと思うところを最大限に活かせると、欠点にあたるものって、他人から見たらよく分からなくなる。長く生きているとそういう感覚に長けてくるおかげか(笑)、私自身は昔よりコンプレックスを感じることが減りました。それから人は、年齢とか環境である程度、行動や考え方が決まってくるけれど、その、もしかしたら勝手なルールみたいなものをゆるめられれば、美しさの可能性ももっと広げられるんじゃないかなと」(辻さん)
direction & styling:NAOKO TSUJI / photograph:KEIICHIRO NAKAJIMA[SIGNO](model), KAZUTERU TAKAHASHI[KONDO OFFICE] /
hair:KAZUKI FUJIWARA[Perle management] / make-up / YUKA WASHIZU[beauty direction] / model:SERI IWAHORI, MAYUMI SADA
/ text:CHIHIRO HORIE
otonaMUSE 2022年9月号より