いつまでも「旬な女」でいるために。ランウェイから学ぶ秋メイクを考察【木南晴夏×中山友恵】
いつまでも“旬な女”でい続けるためにマストなのは、時代とマッチしたメイクアップ。そこで、俳優の木南晴夏さんのリアルな質問にヘア&メイクの中山友恵さんがアンサー! 秋冬のコレクションから生まれたこの秋のビューティトレンドを大人はどう取り入れるべきか? 考察してもらいました。洋服を変えるようにメイクだってアップデートを。
“質感”選びと大胆な引き算が
秋の旬顔作りのキー
木南さん(以下K) スタジオに入ってきたら、たくさんアイシャドウが並んでいてびっくりしました。緑とか青とか、秋冬なのに今年は寒色も多いんですね?
中山さん(以下N) カーキ寄りのグリーンは特にたくさん出ていますね。ファッションブランドの秋冬コレクションではブラックを取り入れたスモーキーアイが多かったけど、それをちょっとソフトに演出できるのがこのへんのカラーなのかなと。
K そもそも私、カラーの使い方がぜんぜん分かってないんですよね。アイシャドウを使うとしたらブラウンとか、ちょっと遊んで赤系とか……それくらいしか幅がない(笑)。無意識のうちに、肌になじむ色を選んでしまうんです。たまに、遊びのきいた色を買ってみるんですが、結局どういうタイミングで、どう取り入れたらいいのか、分からなくて。
N ブルーやグレーはエッジーだし、ハマればめちゃくちゃかっこいいんですが、顔の血色を奪う色でもあるから、難しくもありますよね。まず肌にのせてみて、自分に似合う色・質感なのかを確認してもらいたい。あと、他に組み合わせる色とのバランスが重要なんです。
K 合わせるのは、どういうものにすると、今っぽくなりますか?
N ちょっと赤みを感じるリップを合わせるのがオススメです。60年代とか70年代のいい女風に転ばせることができ、それが逆に今はモダンに見えるなあって。
K 赤茶っぽい色のリップも気になっています。こういう系統って、大人になってこそ似合う色だなあと。
N 茶系のリップはこの秋、大豊作なんです。ちょっと前までは、マットだったりしておしゃれだけどストイックになり過ぎるものが多かったのに対し、今シーズンは、シアーで唇の色と絶妙に調和するものが多い! ランウェイでも、強い目元に透け感のあるリップを合わせて、さり気なく引き算するルックが多い印象でした。それから、ほんのりレッドのニュアンスが混ざっていたりして、センシュアルなムードを演出できるものが増えているんです。
K 普段から落ち着いた色のリップが好きなので、シアーな茶系はすぐに試せそうな気がします! あと、個人的におしゃれだなあって気になるのは、黒とか締め色を使っていないのに、ちゃんとお化粧してます感が出せるメイク。素人は、目を大きく見せるためについアイラインをバシッと入れたくなるけれど、締め色を使わなくても旬な顔に見せるコツってあります?
N 木南さんの場合は、とにかくまつ毛が素敵で! 黒々としていてしっかり太さがあるので、それをいかしたいなと思って、実は記事トップのルックでも、黒いアイライナーやマスカラは使わなかったんです。ビューラーで上げればそれだけで、自まつ毛が目のフレームの役割をしてくれるので。眉毛がちゃんとある人なら自眉をいかしてもいいし……“自前の黒”の存在を立たせると、ブラックを入れなくても締まって、垢抜けた顔に見えます。
K この年代になってメイクがナチュラル過ぎると「寝起きのまま何もしてない?」みたいな感じになってしまわないかも心配で。薄くなくどこかモダンに見えるのにやり過ぎていないって素敵だなと!
N 今シーズンはパーリーでもキラキラでもないのに、まぶたに透明感を宿してさり気なく陰影を加えられるような、シアーなアイコスメが出始めているんです。アディクションの新作アイシャドウなんかがまさにそうなんですが、こういうものを取り入れるとエッジを出せるし、目まわり全体に入れても、トゥーマッチな感じにはなりにくいと思いますよ。
K 逆に大人世代はこういうことはしないほうがいいよっていうのもあるんですか?
N 全部に力を入れること、ですかね? 大人が洒落るためには、どこか力を抜く感じを出すことも大事だと思うんです。例えば、アイシャドウをたっぷりと塗ったらリップは引くとか。あと、年齢を重ねると肌の作り方など、自分のやり方に固執してしまいがちですが、マイルールにこだわり過ぎないスタンスでいたほうが、時代にマッチした顔にアップデートできると思います。
K なるほど。どんなメイクをしてもらえるのかとっても楽しみです!
次回からは、トレンドメイク実践編。フレッシュな表情を生み出す、最旬ツヤ肌メイクを中山さんが木南さんに手掛けます。お楽しみに!
photograph:YASUTOMO SAMPEI(model), spotlight(runway), KAZUTERU TAKAHASHI[KONDO STUDIO](still) / styling:KASUMI KATO / hair & make-up:TOMOE NAKAYAMA / model:HARUKA KINAMI / text:CHIHIRO HORIE
otona MUSE 2023年9月号より