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黒ずみ、脱毛からセルフプレジャーまで
「デリケートゾーン」のお悩みにプロが回答!
新しい技術や発想などが取り上げられ、ますます盛り上がりを見せるフェムテック業界。でも、そもそも私たちにとって「フェムテック」とは何だろう? 自分のからだやセクシュアリティと長年付き合ってはいるけれど、一体どのぐらいの理解や知識があるのだろうか。そこで、様々なジャンルのプロフェッショナルな方々に、からだのこと、性のこと、妊娠のことなど、MUSE世代が気になるギモンをぶつけてみました。ラストは、人にはなかなか聞きづらいデリケートゾーンのケア&トレーニングにまつわるお悩みQ&Aをご紹介。これからの未来をもっと快適で、もっと健やかに過ごすためのヒントがきっと見つかるはず!
※回答してくださった方々のプロフィールはこの記事の最後に記載してあります。
Q. デリケートゾーンケア、どこまですべき?
A. 洗う、保湿する、ほぐす、鍛える。これがデリケートゾーンケアの基本。デリケートゾーンのお悩みで多く挙げられる、蒸れやかゆみ、ニオイや乾燥。これらは全てケア不足から起こることがほとんど。そのまま放っておくと感染症のリスクが上がったり、ホルモンバランスの乱れによる冷えやむくみ、生理痛や性交痛などのトラブルを引き起こしかねません。
デリケートゾーンを清潔に保ち、乾燥させないためにもまずは専用アイテムで正しく洗い、保湿することが大切。膣まわりはからだの皮ふとは違い、経皮吸収率の高い繊細な粘膜です。間違ってもからだのついでにボディソープで洗ってはいけません。必ず膣まわりのpH値と同じ、弱酸性の専用ソープを使いましょう。膣内は自浄作用のある常在菌があるので、洗うのは膣まわりのみ。また保湿アイテムも必ず刺激レス&ナチュラルな専用アイテムを。からだのなかで最も乾燥しやすい場所でもあるので、お風呂から出たら、顔よりもまず先に膣まわりを保湿してあげましょう。
さらにオススメなのが、週2~3回でいいのでオイルマッサージを。膣をほぐすようにマッサージをすることで、保湿効果はもちろん、血行がよくなりふかふか柔らかな状態に。更年期特有の萎縮改善にも効果があるので、自分の膣の状態をチェックするうえでも、ケアを習慣化することをオススメします。
また、セットで行ってほしいのが骨盤底筋群を鍛えるエクササイズ。骨盤底筋群とは、女性の子宮はもちろん、膀胱や直腸などのお腹まわりの臓器をハンモックのように支える大事な筋肉。ここがゆるんでしまうと、尿漏れや性的満足の低下、さらには子宮脱といった深刻な病気を引き起こすことも。トラブルを未然に防ぐためにも、トレーニングを習慣化させ、筋力強化をしていきましょう。膣トレグッズを使う手もありますが、かかとの上げ下げや膣に意識を集中させ、息をふーっと吐きながら膣を引き上げるように締めて3秒キープする、といった、通勤中にできるようなことも立派な膣トレに。デリケートゾーンのケアは継続することが大事なので、無理のない範囲でコツコツ続けて習慣にしていきましょう(森田敦子さん)
A. デリケートゾーンに触れるものは必ず専用コスメを。(谷口さん)
Q. デリケードゾーンの脱毛ってすべき?
A. したほうが圧倒的に清潔! デリケートゾーンは排泄する部分であり、汗や皮脂を分泌するアポクリン腺という汗腺も存在します。毛があることで蒸れやすく、皮脂が溜まり、それが酸化してしまいニオイや炎症を引き起こすことも。また毛がこすれることで乾燥や色素沈着の原因にもなってしまいます。ケアするうえでも毛をかき分ける必要もなく、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。
つまり、膣と丁寧に向き合えるようになる第一歩。全てをなくすことに抵抗がある方は、Vゾーンだけ残すという手も。脱毛方法もレーザー脱毛やブラジリアンワックス、自宅でケアできる美容機器など選択肢も多様になっています。自分に合った方法でアプローチをしてみてください(森田さん)
Q. 黒ずみってどうにかならないの?
A. ホルモンバランスが影響しているので、黒ずんだ膣(外陰部)=現役なサインということも。ピンクの膣=正常な膣と思う方も多いかもしれませんが、赤みのある膣とそれなりに黒ずみのある膣まわりは女性ホルモンの影響。閉経によって薄ピンク色に変化していくので、黒ずんだ膣まわりは、実は女性ホルモンが現役なサインともいえます。
ただし、自己処理や生活習慣での色素沈着も黒ずみを生む原因なので、日常的な気遣いも必要です。例えばアンモニア成分を拭き取ろうとこすり過ぎることは黒ずむ原因のひとつなので、尿が付着しないよう足を広げておしっこをする。またビデを使うときもアンモニア成分を撒き散らさないようトイレットペーパーで拭いてから。そもそも摩擦は大敵なので、トイレットパーパー自体も、ゴシゴシせず5~10秒程度おさえるのみに。ちょっとした積み重ねで、黒ずみは軽減します。膣まわりは繊細な部分と意識して日々生活するようにしましょう。それでも黒ずみをどうにかしたい場合はインティマホワイトというレーザー治療も。レーザーで肌表面を剝いでいくような治療なので、1~3回で効果は感じると思いますよ(満行みどり先生)
A. おうちでブライトニングケアもできます。黒ずみケア+保湿を叶えてくれる一石二鳥なデリケートゾーンケアアイテムも増えています。いつもの保湿ケアの代わりや美容液感覚で取り入れてみるのもオススメです(谷口絵美さん)
Q. 尿漏れ、湯漏れ、性交時の空気音……。
ゆるんだ膣を締めることはできますか?
A. 最近ではレーザー治療が主流に。ゆるみなどのデリケートゾーンの治療法は、数年前までは手術以外に選択肢はありませんでした。ですが近年ではレーザー機器のバリエも増え、手術をせずとも効果的な治療を受けることが可能に。ただ、年齢や出産経験、性交経験のある・なし、ピルの服用有無によっても膣の厚みや状態は異なり、それによってアプローチ法も変わってきます。だからこそ、悩みがあるのであれば、まずはクリニックで相談を。複数ある選択肢の中から、最適な治療法をチョイスします。
例えばインティマレーザーは、その人に合わせ温度や深さもカスタマイズできるので、尿漏れや性交痛、性的満足の低下などオールマイティーな悩みをケアしてくれます。ハイフはタイトニング効果が強いので、膣壁が分厚く、ゆるみが気になるタイプに効果的。モナリザタッチはCO2レーザーのため、ゆるみよりも潤い不足の方に向いています。人の肌質同様、膣も十人十色。デリケートな部分だからこそ、本当にその人自身に合った施術をしてもらいたいので、医師がしっかりカウンセリング&施術をしてくれるクリニックを選びましょう(満行先生)
Q. 膣ケアをすると感度も上がるって本当ですか?
A. YES! 硬くなった膣まわりや膣壁をほぐしましょう。きちんとセルフケアができていないと、膣まわりが冷えたり凝り固まってしまい、膣内も硬くなってしまいます。それは自分にとっても男性にとっても気持ちよくはないので、マッサージを習慣にしてほぐすようにしましょう。
まずは恥骨の上、お尻の穴の横を。ここは座りっぱなしの姿勢が続くと鬱血してしまうので、毎日ケアが鉄則。湯船に浸かりながらくるくるマッサージをすれば、簡単にほぐれやすくなります。膣内は湯船の外で。清潔にした指で膣奥の両端、入り口の両端をマッサージ。膣内には神経が行き渡っているので、ほぐすことで感度も上がりやすくなりますよ。
また、下駄や草履をはいていた時代の女性は、自然と足の指が鍛えられており、それが膣の締まりにも繋がっていました。春画を見ても、みんな足の指まで神経が行き届いているのが分かります。デスクワーク時など気付いたときにに足の指で“グー・チョキ・パー”を繰り返し、怠けた足指を鍛えてみるのもオススメです(菅原あゆみさん)
Q. セルフプレジャー初心者です。
何を買ったらいいですか?
A. 好みのトーイ+ローション&クリーナーが基本の3点セット。オーラルセックスのような吸引型から、Gスポットに集中して刺激を与えるトーイ、指にはめられるタイプなど多種多様なアイテムがあるので、ビギナーの場合はまず好みのトーイをチョイス。そして摩擦から肌を守るローション、トーイの使用前・使用後に使うクリーナーは必ずセットで購入しましょう。自分のからだのためにも、トーイを清潔に長もちさせるためにも大切なことです(山本あやのさん)
Q. 膣トレって毎日してもいいの?
A. 膣トレグッズの入れっぱなしはNG! 最近、膣トレボウルなど膣内に装着するグッズが多数登場していますが、これはあくまでも隙間時間に使い、鍛えるアイテム。常に異物を入れたままでは、逆に膣内を広げてしまい、膣の空洞化などのトラブルにも繋がってしまいます。膣トレグッズは用法をきちんと守って使うようにしましょう(満行先生)
Q. 最新プレジャートーイ事情が知りたい!
A. サステナブルの波がトーイにも! イギリス発のトーイブランドLove Not War。こちらは今までのトーイブランドにはないほど、細部までサステナブルにこだわっています。本体にはリサイクルアルミなどの素材を使い、他の部分にはリサイクルABS樹脂やバイオプラスチックを使用。保管しておくポーチは最もエコな製法で作られた繊維といわれるテンセルで作られています。パッケージにはプラスチックを一切使用しておらず、イラストや文字も大豆インクでプリントしているため、そのまま資源として再利用できるようになっています。ラグジュアリーな美しい見た目と静音&パワフルな機能性のよさも相まって、ヨーロッパを中心に話題になっています(山本さん)
お話を伺ったスペシャリストの方々
いかがでしたか? プロの方々の意見やおすすめアイテムを参考に、より自分のからだと向き合うきっかけにしてみてくださいね。
illustration:KAORI YOSHIOKA[asterisk-agency] / text:EMI TANIGUCHI
otonaMUSE 2022年2月号より