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よしひろまさみち

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日本の作品が米アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネート!『小学校〜それは小さな社会〜』レビュー

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ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ〜。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『小学校〜それは小さな社会〜』

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story ある公立小学校。入学式から1年生の手助けをするのは6年生の生徒たち。学校生活を通して社会のルールとマナーを学んでいく1年生と、5年前の自分を重ねながらそれを教えていく6年生に焦点を当てて、日本の初等教育のリアルを映し出す。

監督・編集:山崎エマ/配給:ハピネットファントム・スタジオ/公開:現在、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー中 © Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour

★教育に関心ある方へ★

日本時間で3月3日に開催されるアメリカのアカデミー賞授賞式に向けて、続々とその候補作が公開になるんですよー。で、その候補に日本からも2作品エントリーされているんですが、短編ドキュメンタリー賞候補になった『Instruments of a Beating Heart』は、じつは現在公開中の『小学校〜それは小さな社会〜』の短編版。ということで、おかわり確認鑑賞してまいりました。


短編版『Instruments of a Beating Heart』は『小学校〜』の最後のパート、上級生が新1年生を迎えるための合奏を準備するところを再編集したもの。『小学校〜』を観ていない人もまずはこちらを御覧くださいな(The New York TimesのYouTubeチャンネルで観られます)。このドキュメンタリーのすごさは、「6歳児は世界のどこでも同じようだけど、12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」っていう山崎監督の仮定を立証してること。いや、この視点はなかったわ。たしかに小学校の6年間で学んだのは、お勉強じゃなくて社会のマナーだったもん。お掃除や給食の配膳はもちろんだけど、相手の気持ちを考えて行動するとか集団行動のルールとか。あたしはかなりドロップアウト組(いじめられっ子で成績悪くてスクールカーストの最下位。ぶっちゃけ思い出したくない黒歴史)だったんだけど、それでも今の生活で自然にできてて自然に考えられることを学んだのはその期間だってこと、思い出しちゃったのよね。しかも役立ってる。確実に。


これには賛否あっていいと思うの。だって、初等教育の時期に全体主義的な教育をするのは、個を活かす教育とは相反するものだから。だけど、このあり方を俯瞰で観ることで、どこをどう変えるとこのシステムがもっと個を伸ばして、未来を支える方々のためになるかを議論するきっかけにぴったんこ。いいか悪いかではなくて、まずは考えてみませんか?

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よしひろまさみち/映画ライター

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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