米アカデミー賞の脚本賞と助演男優賞にノミネート!映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』が中年の危機を迎えた人の心に刺さる理由とは?
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ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ〜。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『リアル・ペイン〜心の旅〜』
story ユダヤ系のデヴィッド(J・アイゼンバーグ)と彼のいとこのベンジー(K・カルキン)は、祖母の遺言に従いポーランドの歴史ツアーへ。性格が全く違う2人はぶつかり合いながらも、家族のルーツをたどる道中で自分自身と向き合うことに。
監督・脚本・出演:ジェシー・アイゼンバーグ/出演:キーラン・カルキン、ウィル・シャープ、ジェニファー・グレイ ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/公開:現在、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー中
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★ミッドエイジクライシスの方へ★
今年のアカデミー賞授賞式が、NHK BSで生中継されることがようやく発表されましたが、そんななか、あたしゃ今年の候補作の見直しにかかっているわけですよ。心ささくれそうなほど見直してるわけですよ(大事なことなので2度言います)。好きなもんもあれば、「こりゃタイプじゃない……」ってのもあるんですが、脚本賞と助演男優賞の候補に入っている『リアル・ペイン〜心の旅〜』は、タイプだし好きだし、なんならミッドクライシスこと中年の危機を迎えた人にはぴったりじゃないの、と改めて感じたのでした。
ゆる〜いホロコーストものなんですが、本題は主人公のいとこ同士2人がどちらも迷えるアラフォーだからこそ醸し出される「自分ってなんなの……」問題。これに答えが見いだせる人ってなかなかいないから、無理して見つけようとせずにケセラセラと生きるのがよろしいと思っているあたし。2人のいとこ喧嘩を最初に観たときは「あぁ……合わないんだったら一緒に旅なんてしなきゃいいのに」って思ったんだけど、おかわり鑑賞していくうちに、この副題「心の旅」の意味がちょっと分かってきたのよね。それを言語化しちゃうと無粋なので避けますが、何度かご覧いただくことをオススメします。ミッドクライシス、あたしも経験あるから分かるんだけど、きっついのよね〜。心に仙人を飼いたいわ。
ポーランド歴史ツアーの面々。道中、いとこ喧嘩で大波乱
キーラン、こんな熱いハグしてますけど、直前までひどかったんだから〜
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1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。