TVっ子エディター・
マニタナオのドラマ放談
『純愛ディソナンス』、舐めてました。
7月期のドラマ、楽しんでいますか? 私は各局の初回~二話目のオンエアを、録画やTVerにてざっと観たところで。さて今期追いかけるべきはどのドラマかな~と、私もぼちぼち絞り込みの段階なのですが。まず今回は、(いい意味で)先入観を裏切られた感ある、フジテレビ系「木曜劇場」枠にて放送中の『純愛ディソナンス』をピックアップ。
余談ではありますが、この木曜22:00枠。ファッションでいうところのY2K時代(90年代~2000年代初頭)まで遡ると、野島伸司の分岐点ともいわれている『愛という名のもとに』(重めの作風に激変したのはコレ以降)や、山崎豊子大先生の原作を唐沢寿明×江口洋介の名タッグでドラマ化した『白い巨塔』(キーパーソン役は若き伊藤英明!)、さらにはキムタクとミポリンがW主演を飾った伏線満載のサスペンス『眠れる森』(続きが気になりすぎて眠れなかった記憶あり)などなど。ミューズ世代の皆さんならピンとくるであろう、高視聴率をたたき出した名作ドラマがいくつも生まれたキー枠なのです。
……という前置きを挟んだのは。今回の『純愛ディソナンス』、子役時代から実力派の呼び声高く大注目していた吉川愛さん(数年前に念願叶ってお仕事させていただき震えました~)がヒロイン役とのことで気にはなっていたのだけど。“純愛”というワードと、主要キャストにジャニーズ勢2名という配役、そして舞台は高校。このあたりの要素が若い子向けかな~って印象だったのもあり、正直そこまで興味持てず、でした。ところが。初回を観始めて早々に、、、ナメて掛かってごめんなさい!!!と相成った次第です。
ストーリーは、ある高校に赴任した音楽教師と、彼が副担任を務めるクラスの女生徒、その関係性をメインに展開。というと「ハイハイ、有村架純ちゃんと岡田健史くんのアレね。『中学聖日記』ライクな禁断の純愛系でしょ?」と思いがちなんだけど、おそらくそれは早計(ええ、私もそうでした)。
なぜって、この二人がわりかし難アリな家庭環境に身を置いていて、それぞれ心にかなり暗い影を抱いてる。主演のHay! Say! JUMP・中島裕翔さん扮する新田正樹は、優秀だった亡き兄と比較され続け、そのコンプレックスから打算的に生きるように。一方の吉川愛さん演じる和泉冴は、母子家庭で育ち、男に依存する母親の元から早く自立しようとあがく女子高生。明らかに、ただのピュアラブ物語とはワケが違う感じ、しますよね。
しかもこのドラマ、脇を固める俳優陣がいちいちナイスキャストで。個人的にはまず、冴の母親役の富田靖子さんに言及したい。前クールのキムタク主演ドラマ『みらてん』でのおっとりキャラから一転、今回はいわゆる“毒親”。本来、極度のメンヘラを演じたら右に出る者ナシ(と私は思っている笑)の不穏なお方。今のところ表面上はアッパーな感じだけど、娘への執着心やばそう。且つ、「女の人生は男の選択で決まるの」っていうセリフ言ってるときの表情も怖すぎた。じわじわボルテージ上げて、お得意のじっとりパートをいかに出してくるのか。見物です。
そして、新境地開拓!? と思わせる比嘉愛未さんも見逃せない。というか、むしろ見てほしい。地味な国語教師で、人間関係をあえて遠ざけている役。何だろう、今までの役柄のイメージとは真逆な薄幸キャラで、とにかく不気味です。ご本人にそんな要素1ミリも感じられないからこそ、どんなふうに演じるのか、正樹と冴にどう絡んでいくのか気になりすぎる! 他にも、正樹の厳格な父役に神保悟志さん、冴のクラス担任に眞島秀和さん。さらには第2話での登場から既に不穏なムードを感じさせてきた光石研さんや佐藤隆太さんが今後の鍵を握りそうな予感。
初回では、吉川愛さんの真骨頂ともいえる、感情が振り切れたような衝動的で激しいシーンも見られて大満足。あ、タイトルの“ディソナンス”という馴染みのない単語、これ不協和音って意味で。このあと、5年後となる2部にかけて(今週からもう5年後ですよ…!)ドロドロした展開になっていくのかと思うと楽しみ。初回視聴率が低いとかいろいろ言われてるみたいだけど、いやいやこれからでしょ! と思っております。
劇伴の担当が、記憶に新しい『最愛』や『Nのために』といった数々のラブサスペンスを手掛けた方なのもあって、シーンごとの音楽が、ヒリヒリしたムードを加速させてる感。そこも見どころのひとつかと。
第3話は明日28日放送ですが、1話と2話もTVerで無料配信中。2部がはじまる今がチャンス! まだまだ間に合いますよ!
text:NAO MANITA[BIEI]