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よしひろまさみち

今作の『スーパーマン』は、弱さも持ち合わせた「完璧じゃない」ところが最大の見どころ!

★強過ぎないヒーローが好きな方へ★

完全無欠のロックンローラー、じゃなくて完全無欠のヒーローっているじゃないですか。ぜんぜん傷つかなくて、メンタルも超合金で、おまけにルックスもパーフェクトっていう。いや、それはそれでいいんだけど、共感するところどこにもない! むしろ、いざというときは頼りになるけど、普段はどこにでもいるタイプ、もしくはへっぽこくらいがちょうどいいっていう方、いらっしゃるわよね。そういう人には公開中の『スーパーマン』なのよ〜。完璧ヒーローの代名詞だけど、今回は全く違うの! わけあってIMAXで見直してきたわ。

 

これまで何度も映画化されてきたスーパーマンですが、前フリがあるじゃないですか。クリプトン星からやってきて〜、ケント夫婦に育てられ〜、新聞記者になって〜、っていう。あれ、全部省略。「みなさんご存知でしょ、おほほ」って感じで、冒頭のテロップで解説しちゃって、「では今のスーパーマンは……」って感じで始まるのね。この潔さ、最高。そして、最初に彼が現れるシーン、ズタボロ。メッタメタにやられちゃってんのよ。え、スーパーマンって傷つかないんじゃなかったっけ? と思いきやですよ。ここからしてぬごぉぉ! っとのめり込むポイント。

 

で、物語が進むに従い、スーパーマンが何と戦っていて、それがどんだけ手強く、義理のパパママ(ケント夫婦)や恋人のロイスにも迷惑かかる可能性あるか、ってのが明らかになっていくのね。もうこうなると四面楚歌。メンタルも超合金じゃなくて人間並みに豆腐だし、たしかにパワーはあるけどそれを封じられちゃうし(見てからのお楽しみ)。いやはや、こんな描き方があったとは。

 

おまけにですよ、最後の最後まで観ると、スーパーマンが「地球外生物ですけど、みんなと同じ人間なんですよ、ぼく」っていうメッセージも受け止められるエモ展開。一瞬頼りなくなるところをカバーするのが何かってのも最高の構成だし、何度でも観たくなるのよね〜。で、なんでIMAXで観直したかっていうと、ふたつ理由あり。ひとーつ、できるだけでかいスクリーンで観たほうが楽しいから。ふたーつ、これから大作が大量待機していてIMAXで観られなくなるから〜。ということで、早めにラージフォーマットのスクリーンで観てね。

敵のレックス(左)、スーパーマンを好き過ぎ問題

ロイスがめちゃかっこいい役どころ〜

スパイダーマン公式

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よしひろまさみち/映画ライター

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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