人気ドラマの劇場版『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』は、私たちに気づきを与えてくれる良作!

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ〜。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』
story 大地(中島)との出会いによって、家庭も仕事もうまくいくように変わることができた沖田誠(原田)。そんな矢先に、彼の元部下だった佐藤(曽田)が彼の取引先として現れ、パワハラ三昧だった時代を掘り起こされる。
監督・脚本:二宮崇/出演:原田泰造、中島颯太(FANTASTICS)、城桧吏、大原梓、曽田陵介、渡辺哲、松下由樹、富田靖子 ほか/配給:ギャガ/公開:現在、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー中 ©練馬ジム | LINEマンガ・2025 映画「おっパン」製作委員会
★アップデートが気になる方へ★
昨年1月に放映開始されて話題を呼んだ東海テレビのドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』。略しておっパン。原作の同名コミックからして好きだったんだけど、TV版があまりにもよくできていたことでさらにお気に入りだったのよね。それが劇場版になって帰ってきたのよ〜。映画おっパン。映画版だけを観るのもありだけど、ドラマは1シーズン+SP版1作だけなので、各配信サービスでご覧になってね。より理解度深まるから。
自分の成功体験に基づく昭和の価値観を引きずりまくって、部下はもちろん家族からも疎まれていた誠が、大地くんというゲイ青年と知り合ったことで一気にアップデートしたのがドラマ版。おっさんの考え方が人を傷つける武器になっていることに見事な気づきを与え、晴れて誠さんはやさしくていいおじさんに変わったのよね〜。
で、この映画版は何かというと、娘・萌と妻・美香など、ドラマ版でとりこぼしてしまったけど大事なキャラクターを掘り下げただけでなく、誠がかつて傷つけた元部下が登場して、誠のまわりに残っていた因縁を全て精算します! って物語なの。これがまた……素晴らしい。傷ついた経験は消せないしトラウマは残っているけど、それを認め合う大切さってのを教えてくれるのよ〜。誰もとりこぼさないこのシリーズ、マジ好き。自分が今の価値観に合ってるか不安な人、憎しみに突っ走っていた過去を精算したい人、ぜひともヒントにして。
誠さん、大胸筋デカパインこと萌さん初の書き下ろし販売の現場に潜入(萌さんから止められてます)
大地くんと円先輩、遠距離恋愛大丈夫!?
不登校から完全復帰の翔くん
人気記事を見る
この記事の画像一覧
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。