菅野美穂がホラー映画の世界に帰ってきた! とにかく不穏な『近畿地方のある場所について』
★夏だ! ホラーだ! の定番コースがお好きな方へ★
夏ですもの、映画はホラーよね。という方、いらっしゃると思います。実は今夏の邦画業界はホラー祭り。近年、『変な家』などのヒットが続いておりまして、この夏はドドンと怖い映画が公開されてるんですよ。Vシネ版『呪怨』『呪怨2』の4K版(初スクリーン上映!)とか、ヒット映画の続編『事故物件ゾク 恐い間取り』 とか。
で、そんななか、満を持して出てきたのが『近畿地方のある場所について』。Web小説でバズり、書籍化したらベストセラー。そしてこの実写映画化になります。原作読んだ人はマストウォッチですわ。ということで、原作をWebで読んで「なにこれ、おもろ!」と思っていたあたしも参戦。
オカルト雑誌の編集長がデータを持って失踪する、という、編集経験者だったら冷や汗どころか目の前真っ暗になる状況で、編集部員とライターが編集長ひとりで作ろうとしてた特集をなんとか完成させようとする、というところから物語はスタート。これねー、この状況がどれほどの危機か痛いほど分かるし、なんなら似た経験したこともあるので、一気に引き込まれてしまったのよね。で、きましたきました。怪現象の数々。これがもー、原作通り。原作読んだことある人ならおわかりだと思いますが、この小説、全く関係なさそうな事件の記録の羅列で始まって、「何を読まされてるんだろう……」という序盤から、あることをきっかけに「これらの事象の根っこは一緒なのでは?」となる流れなんですね。
小説ではバラッバラの短文が延々続いたところを、消えた編集長が集めていた資料を紐解くことで一気に見せてくれるのよ。それがスピード感あるうえに、非常に気持ち悪くて不穏(褒めてます)。特に昔のテレビ番組のVHS映像とか、「こういう番組ありそう……」という作りなのよねー。と、制作会社をみて納得(日テレ系のアックスオン)。超上手。うまいというか本職が作ってる!
ぜひともこの薄気味悪さを劇場で。あ。「来るぞ来るぞ……ぎゃー!」っていう驚かせシーンはあまりありません。とにかく不穏です。

雑誌編集部あるあるですが、むちゃ散らかってます
近畿地方に行くのは終盤です
この映像資料が超怖い!
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WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。