LiLy『オトナ白書』本日発売♡ 佐田真由美、岩堀せりとシスターフッド鼎談「40歳以上は、みんなタメ!」
ポケベルはアーキス、プリクラにラブボート、
スミスのロングにソックタッチ。
ー当時からの夢は3つあった。
お母さんになること。
永遠に続く恋愛結婚。
作家になること。
幸運にも叶った夢と、必死こいて叶えた夢。
そして、夢半ばに敗れてしまった願いごと。
現在私はバツイチ子持ちの作家で、
東京の真ん中あたりで暮らしている。
スマホにインスタ、愛犬の散歩と東京タワー。
「TikTokやってないママって古い」
ーと書くと優雅に響いてしまうが内情は違う。
インスタ上の印象みたいなソレからは、遥かに遠い。
息子の塾の保護者会と、
娘の絵のスクールのダブルブッキング。
目が飛び出そうなカードの支払額通知に、
担当編集者からの締め切り原稿催促LINE。
それでも愛犬の散歩はマストなので、
今は歩いている、というだけのこと。
次はアッチその次はコッチと
いつも走り回っているけれど、
自分のプライベートな用事は1割を切る。
春夏秋冬、1年なんかすぐに過ぎてゆく。
年齢は、どんどん重なり遂に「40歳」に。
ここでふと、
足を止めて胸に手をあててみる。
ココは、若き日の自分が妬み嫌いながらも、
自分だけはそうならないと心に誓いながら
どこまでも憧れて夢を見た「オトナの内側」。
ハタチから20年、時は2022年。この本は、大人に中指立てる系ギャルだった私たちが遂に40代へ突入した/してしまった今のー「現代の」オトナ白書。
(LiLy『オトナ白書』イントロダクションより一部抜粋)
ここからは、オトナのはなし【番外編】
エッセイ『ここからは、オトナのはなし』の連載も8年目に突入し、第4弾となる書籍が本日9月13日に発売となりました。タイトルは『オトナ白書』。
ということで今回は、特別編!
それこそ私がギャルだった頃からのカリスマペア、佐田真由美さんと岩堀せりさんをお迎えして「あの頃」と「今」、そして「これからのエイジング(笑)」について語りました。
“それこそ、今は娘がギャルになってる”
LiLy 10代だった頃のことは大昔に思えるけれど、一方であっという間に40代に入ってしまった感じもして。そんな時の流れを、どう捉えていますか?
岩堀せり もう終わったんだな、と(笑)。
LiLy えッ!?(笑)。
岩堀せり それこそ、今は娘がギャルになってるから、もうこの世代の時代なんだということにショックを受けたの。と、同時に自分はまだその気でいたのか! と(笑)。それがつい最近のことなんです。
佐田真由美 あはは! でも、わかる。娘たちを見ていると本当にフレッシュで、すぐ近くでそれを見ているわけだから。トレンドだったりアンテナの貼り方だったり、言葉遣いも含めて、やっぱりその世界ではもう勝てない。でも(私たちがまだ)そこで張り合ってたら滑稽じゃない?(笑)。だから、つい最近まで諦めがつかなかった自分も素直に認めて受け入れていくというか。
岩堀せり そこがまだひとつ大人になったところなのかも。
LiLy 共感しかないです(笑)ーと、同時に24時間体勢で赤ちゃん育児をしていたところから、子どもたちが10代になって手が離れたことで、余裕ができた分こちらの精神がまた若返ってきた、というか本来の自分を取り戻した感覚もあって。
岩堀せり うんうん。育児を通して色々と経験は積んでいるんだけど、“思い”は全く変わらない。
LiLy そう、内側は全く変わらない。10代の頃から。もっと言えば10歳から。戸惑うくらいに同じ人間(笑)。
LiLy ギャルのカリスマ全盛期だったお二人は、当時どんな青春を?
佐田真由美 せりちゃんとは、撮影も遊びも、毎日一緒だったよね。
岩堀せり うん。撮影後には、一緒に街に繰り出してね。バッチリメイクして。カリスマなんて言われてみんなに囲まれちゃって、すごくない? 私たち! ってね(笑)。でも、そんな自分と、それでも自信がない自分と常にどっちもいたなぁ。
佐田真由美 とにかくバッチリメイクにお洋服もバッチリ着。テンガロンハットとか被ってたよね?
岩堀せり それでクラブに行って踊りまくって、ってね。
LiLy おぉ! 有名でありながらも、青春を謳歌できていたんですね?
岩堀せり もうね、流行り始めたばかりだったし、私はまさにコギャルだった。お腹も出してみたり。
佐田真由美 私はオタク気質なので‥‥。みんなムラスポのバッグを斜めがけしたりしていたんだけど、私はスーパーラバーズで。ルーズじゃなくてぴったりしたソックスを履いていて。
岩堀せり そうそう。まゆみんはオシャレな子だったイメージ。そっちのオシャレは本当のお洒落、みたいな認識だったよ、こっち(コギャル界)の中では。
LiLy いっている意味、とてもよくわかります(笑)。
佐田真由美 えー(笑)でも、私はギャルになりたかった。ギャルがカルチャーの時代だったから、逆にイケてないグループのほうだったよ? 憧れてた。
LiLy 当時は今以上に、カルチャーが街によって分かれていましたよね。渋谷のマルキュー派か原宿のラフォーレ派か、みたいな。
佐田真由美 そうそう。私はまさにラフォーレのほう。あとパルコ。
岩堀せり パルコ! ほら、オシャレじゃん!
佐田真由美 そうなの?(笑)
LiLy それこそ、お二人の変わらぬ友情に、私(たち)は尊さを見るんです。時代が変わっても、お二人は今とても素敵で超仲良し。変わっていくところと変わらないところ、自分の中にも外にもどちらもがある中で、後者を見つけるとやっぱり嬉しい!
ギャル精神と女同士の友情、
変わるものと変わらないもの。
LiLy 当時のギャルカルチャーはひとつの革命だったと私は思っていて。大人にも男にも媚びない! 自分の好きなカッコをするしいいたいこともいう! もちろん社会はアンチギャルだったけど、女の子なんだからおとなしく、という刷り込みは女の子本人の内側にもあって。それがギャルの出現で、大きく変わったと思うの。
佐田真由美 確かに。(女子だからって男子の)一歩後ろじゃなくていい、というのはそこから始まっていたのかもね。
LiLy 不良の“筋通す”じゃないけど、元ギャルなら信用できるって思うところが今でも少しあって。女同士でも裏表がなくて、性格が良いイメージありません?
岩堀せり 確かにあの世代は、モデルたちもみんな仲良いよね。他の子たちもそう。
LiLy 女の敵は女っていわれていた時代から、男に媚びないギャルの出現を挟んで、私たちは仲間だよっていうシスターフッドの時代に今また入ってきたなぁって思って時代を見ています。
「オトナ」が架空の動物ならば、
「おばさん」とは誰なのか問題。
岩堀せり 歳、とりたくないなぁ!
佐田真由美 歳とるのって嫌だよねぇ。
岩堀せり やだ。本当にやだ!!
LiLy きっと、それ、みんなの本音(笑)。たけど、嫌っていいづらいってエッセイ本の中にも書いたんです。年齢を重ねるのを楽しみにしている人=年齢に縛られない人=魅力的というプレッシャーが年々ヤバイ‥‥。
佐田真由美 本当によく、“年齢はただの数字”っていうけれど、私はそうは思えない。思える人って逆にいるの?
岩堀せり 私は、(実は誰よりも年齢を)気にしている人ほどそういうんじゃないかって疑っちゃうくらい。
ーここで、本誌編集長渡辺佳代子が思わず発言。
編集長渡辺佳代子 それ、今日一番言って欲しかったことかもしれないです。だって、雑誌ってその犯人みたいなものじゃないですか。もちろんミューズも含めて。でも、歳とるの、嫌ですよね(キッパリ!)。
ー全員拍手(笑)
LiLy 大人ってこんなにも素敵なんだって希望をくれるのが雑誌であることも確かなんです。ただ、年齢を重ねるのは素晴らしい! というスローガン一色に染まり始めると、今度は妙齢の女性の本音がまた置いていかれ始める(笑)。
佐田真由美 あとは、そんな葛藤も超えて、60代の女性がシュプリームに半ズボンで! っていうのはカッコいい。突き抜けている方が、年齢なんて関係ないわよ! っていうのは説得力あるよね。
LiLy すごくわかります。40代から50代って、一番葛藤するときなのかも‥‥。
佐田真由美 どこかでは、まだ歳じゃないって思う自分もいる。でも、プチ更年期も始まってるからなぁ。数年前からずっとザワザワしていて、ああ、これはもうそうだなって。
岩堀せり 私もだよ!
LiLy ただ、今すぐハタチに戻れますっていわれたら戻ります?
岩堀せり 戻る!!!!
佐田真由美 あ、即答した(笑)。
LiLY また家庭とか子育てとか一からやるのは流石に大変すぎません?
岩堀せり あ、今の知識と状況のまま、私だけハタチに戻るんじゃなくって?
LiLY そんなずるいオファーはないですよ(笑)。ただ、経験と状況キープのまま20歳以上も若返るなんてクレオパトラ時代からの皆の夢ですよね。一方で、作家の林真理子さんが、昔はみんないっせーのせ! で女から降りてみんなで一緒におばさんになったからある意味ラクだった、今は誰も降りないから大変な時代だ、と書かれていて。若返りは無謀でも、“おばさん”になら、放っておいたらたったの1週間で私は完璧になれる自信がある‥‥。
佐田真由美 今の仕事をしていなかったら、既になっていた自信しかない‥‥。
岩堀せり 私はもう既になっている気がする‥‥。
ーここでまた編集長が慌てて発言。
編集長 あのぅ、降りてしまったら困るんです。ミューズモデルのお二人が同時に降りられましたっていうのは、ちょっと‥‥(笑)。あ、でもそうしたら、降りる雑誌に変えようかな。
岩堀せり&佐田真由美 爆笑
LiLy それはそれで需要あるのかも。キャッチコピーは、“もう十分!! ”とかってね(笑)。
佐田真由美 すっごく面白いけど、想像すると怖いね(笑)。根本的なところは手放していってもいいのかも。でも、それに甘えることも驕ることもなく、家族や仕事を与えてくださる方たちに、いい感じで年齢を重ねてるなって結果的に思ってもらえたら理想だなぁ。
編集長 とはいえ、綺麗だけど整形バキバキな人にみんななりたいわけではないと思うので、ちょうどいい塩梅をミューズで提案していけたらなと思ってます、今いないのであれば、お手本にならなきゃいけない人たちなのです。
佐田真由美 そういうふうになれるんなら、なりたいって思っちゃいます。素敵だなとは思われたい“やっぱり”。願望はある。
編集長 “37歳、輝く季節が始まる!”ってミューズを始めたけど、気づいたらすぐに50歳なわけじゃないですか。ここから先、どうしていく? って考えたときに、対象年齢を上げたり下げたりするのではなく、“40歳以上はみんなタメ!”ってスローガンにしようかなって。
LiLY 最高です! 年上も年下と同じ括りに入れるのは嬉しいし、年下も年上の仲間に入れてもらえて嬉しいし、誰にとっても嬉しい話。うちらは全員仲間だよって考え方って、超シスターフッドだし、エイジレスだし最先端の考え方ですよ!
佐田真由美 しかもそれ、女子特有(のメリット)でもありますよね。男子はもっと上下関係に厳しいところがあるから。
岩堀せり 女同士で話しているとき、年齢なんか気にしないよね。
LiLY 先輩へのリスペクトはもちろんあるけど、対等に話せるってお互いの垣根を外し合うことでもあるんですよね。さっき、大人になってどんどん友達も異性も交友関係が狭くなるって話題もでたけど、ここからは“全員タメ現象”によって、今度は広がっていくかも。上とも下とも、もっと仲良くなれる期待がある!
多様性とオリジナリティ、
タメ口のシスターフッド!
編集長 ミューズは既婚/独身、子どものあり/なし等でくくらない雑誌で。いろんなロールモデルがいる。属性がバラバラな雑誌なんですよね。
佐田真由美 そして、みんなおもろい。ちょっとおかしい感じ(笑)。
LiLY ここから、時代ももっとそういう風に変わるといいなぁ。多様性を認めて、フェアに、ボーダレスに、それぞれが自由に!
佐田真由美 変わるよ! 今の若い子たち、すっごく面白いもん。ワールドワイドだし。
岩堀せり 輝いてるよね! 最近ね、子どもたちの友達がしょっちゅううちに集まって恋バナしてるから、私もずっときいてるの。夜中の3時までとか。で、翌朝私だけが体力的につらいんだけど(笑)。楽しいんだよね!
LiLY やっぱりこの世代は最高! 今日お話しさせて頂いて、自分が生まれ落ちた時代・同世代を改めて大好きになったし、私たちがお母さんとして育てている次の世代も、これからとっての楽しみで。ーああ、ずっと見ていたい。見て、書き続けたい。だから長生きしたい!
岩堀せり ‥‥死にたくないよね。
佐田真由美 うん。死にたくない、そこも複雑‥‥。
LiLY ‥‥そう思うくらい“生きることが好き”ということで!(笑)
text:LiLY special thanks:MAYUMI SADA , SERI IWAHORI / photograph:KAORI IMAKIIRE / illust:EKORE / shooting cooperation:CICADA