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よしひろまさみち

没入感がすごい!大ヒットアニメ実写版『ヒックとドラゴン』アスティ役ニコ・パーカーが語る撮影秘話

没入感がすごい!大ヒットアニメ実写版『ヒックとドラゴン』アスティ役ニコ・パーカーが語る撮影秘話

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ドラゴンと共生する世界で、気弱なバイキングの少年が人類の脅威とされる最強ドラゴンと友情を育む感動物語。2010年に公開され、劇場版が3作、TVシリーズも制作された名作アニメ『ヒックとドラゴン』シリーズが、ついに実写化された。ヒックとドラゴンのトゥースの『ドラえもん』にも似た関係性や、ジブリ映画を彷彿とさせる華麗なる飛行シーンなどなど、日本でも話題になったこの作品。ヒロインのアスティを演じたニコ・パーカーは「アニメ版が大好きだったから、そのクリエイターであるディーン・デュボワ監督とアスティを再構築したのは大興奮の経験だった」と語る。

Nico Parker 2004年12月9日、ロンドン生まれ。俳優タンディ・ニュートンと映画監督オル・パーカーの間に生まれ、『ダンボ』(2019年)の子役でデビュー。『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』(2025年)に出演し話題を呼んだ。

「監督はオリジナルのアニメ版がどれほど素晴らしいものかを自認しているけど、この実写版ではもっと大きな変化と発展をさせようと意欲的でした。それが私の心を一番突き動かしたといえます。アスティはヒックと正反対にかなり競争心が強い女のコで、ヒックのことをちょっと見下しているところがあります。その嫌悪感みたいなもののバックストーリーを掘り下げられたのは実写版ならではだと思いますよ」

 

心優しく陰キャなヒックに対して、アスティは“打倒ドラゴン”の常識を植え付けられて育った陽キャ。ヒックのことをちょっとだけ苦手に感じているところから物語が始まる。アスティの嫌悪感はいわば、男性優位社会に染まることでしか自己表現が許されないという思い込み。ヒックはコミュニティのリーダーの息子でありながら、そのシステムから外れたところで好き勝手やってるのにイジイジしているのが気に食わない。ヒックを演じたメイソン・テムズ、ヒックの父を演じたジェラルド・バトラーとはどのように話したのか。

 

「アスティの感情の深いところがどう動いているのか、それゆえにどのような気分になっているのか、など、共演者たちとは常にコミュニケーションをとっていました。特にジェラルド・バトラーは、私の母(タンディ・ニュートン)と共演していたこともあって、最初に会ったときから“僕は君のお母さんと一緒に仕事したよ”と言われて安心感もありましたし、母からも“ジェリーと共演? 悪夢よ(笑)”なんて冗談も聞いていたので(笑)、最初からプレッシャーを感じずに演じることができたと思います」

 

この実写版のすごさは没入感。ドラゴンがいる世界を見事に構築したことだ。「セットにいると本当にその世界にいる感じがしました。だってにおいまで(笑)。魚小屋があるんですよ、超生ぐさくて、おまけに扇風機でそのにおいをあおってるんです。雰囲気のため、そこで生まれるエナジーのため、ってのは理解できるんだけど、ここまでやるか! って思いましたね」

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text : Masamichi Yoshihiro

otona MUSE 2025年10月号より

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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