フランスで260万人を動員した落涙必至の感動作! 映画『ファンファーレ! ふたつの音』レビュー

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ〜。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『ファンファーレ! ふたつの音』
story 白血病と診断された世界的指揮者ティボ(B・ラヴェルネ)は、骨髄移植の可能性を探る際、自分が養子で、生き別れた弟ジミー(P・ロタン)がいることを知り、ジミーに骨髄提供をお願いする。手術は成功し、ティボがジミーの暮らす炭鉱町を訪ねると、そこには吹奏楽を楽しんでいるジミーの姿が。じつはジミーにも類い稀な音楽の才能があることをティボは見抜くのだが……。
監督:エマニュエル・クールコル/出演:バンジャマン・ラヴェルネ、ピエール・ロタン、サラ・スコ ほか/配給:松竹/公開:現在、新宿ピカデリーほか全国ロードショー中 ©Thibault Grabherr ©2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinema
★音楽経験者or興味ある方へ★
吹奏楽コンクールの季節もそろそろ終わりに近づいておりますね。と、音楽経験者や興味のある方には「あーわかる!」という作品、『ファンファーレ! ふたつの音』をおかわりしてきましたの。だって、公開期間短そうな予感なんだもん。
白血病になった世界的指揮者兼作曲家のティボが骨髄ドナーを探そうとしたら、じつは肉親は別にいること、そして実弟がいる事実が判明。で、その実弟ジミーは、炭鉱町でバイトしながらカツカツの生活。そんな彼にドナー協力をお願いしてティボは回復し、改めてお礼に訪れてみたら、なんとジミーは吹奏楽団でトロンボーンを吹いていたり、音楽の趣味もびっくりするくらいそっくり。と、ここまで聞くと、ティボがジミーに恩返しで音楽の才能を伸ばしちゃうのね、って思うでしょ? ノンノン。物語は全く想定外の方向に進んでいくのよ。
運命的に引き寄せられた凸凹コンビの友愛ものといえば『最強のふたり』って映画がありますが、あれにちょっと似ている感動作。なんだけど、感動の質が全く違うし、なんなら「才能か血筋か」みたいな『国宝』的なスタートダッシュのくせにこちらの予想をいい意味で裏切って進んでいく物語にグイグイ。最後なんて、ある意味寄り切られたわ……(相撲か)。
いずれにしても、音楽を一度経験してたり、興味がある人ならドハマリ。そうでない人でも『最強のふたり』的なアプローチでのめりこむヒューマンドラマですの。マジで早めに見ておくれ。
生き別れてた兄弟、再会!
炭鉱町吹奏楽団の皆さん。すげー酒好き
脇役ワンコ。めちゃ可愛い
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。