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よしひろまさみち

「じつは原作を読んだことがなく…」『モンテ・クリスト伯』アナマリア・ヴァルトロメイが語る

「じつは原作を読んだことがなく…」『モンテ・クリスト伯』アナマリア・ヴァルトロメイが語る

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今月のシネマミューズは、アナマリア・ヴァルトロメイ

傑作復讐劇として有名な『巌窟王』。そのオリジナル小説となるアレクサンドル・デュマ・ペールの『モンテ・クリスト伯』を、本国フランスで再映画化。この作品、幾度となく映像化されているので、もうできることはないだろう、と思っていた……んですが、できちゃったんですよ。今作る意味のある演出で。それが本作。大筋はご存じの方も多いアレなんですが、世界観、人物相関、生々しい人物描写などなど、なにもかもが壮大。「この映画に関わることができて一番喜んでいたのは父でした」というのは、主人公ダンテス(後のモンテ・クリスト伯)に命を救われたヒロイン・エデを演じたアナマリア・ヴァルトロメイ。

Anamaria Vartolomei 1999年4月9日、ルーマニア生まれ。2011年の『ヴィオレッタ』でスクリーンデビュー。2024年開催の東京国際映画祭にて出演作『トラフィック』で最優秀女優賞を獲得。

「どういう物語かは知っていたんですが、じつは私自身は原作小説を読んだことがなく、今もまだ読まずにとってあるんです。監督は私が演じるキャラクターを小説とはだいぶ違う描き方にすることを決めていて、“読んでいないならそのままで”と言われました。それで読んでいないんですが、父がこの小説の大ファンで(笑)。ものすごく喜んでくれましたし、正直言って今でもこの作品に関われたことが信じられない気分です」 


彼女が演じたエデは、映像化のたびに立場が変わるキャラクター。本作では、奴隷として登場し、モンテ・クリスト伯に救われ、彼の復讐に手を貸すという役どころに。「なかなか大胆な変更でしたが、モンテ・クリスト伯を演じたピエール・ニネさんと共演シーンが多かったことはとても勉強になりました」と彼女。「彼はいつも思慮深く、現場での集中力はものすごかったです。彼に影響されましたし、撮影の合間には作品について語り合うこともありました。彼がフランスのあの世代トップの俳優である理由がすごくよく分かりましたね」


彼女はルーマニア出身でフランスで育ち、ソルボンヌ大学の進学を固辞して俳優の道へ。デビューから注目を浴び、今年はハリウッド大作『ミッキー17』にも出演。活躍の幅はどんどん広がっています。「出演作が2本、今年日本で公開されることを嬉しく思っています。どちらも大きな規模のプロダクションでしたが、私自身はそれほど作品の規模にはこだわっていないんですよ。ロールモデルにしているペネロペ・クルスやスカーレット・ヨハンソンのように、いい脚本さえあればなんでも挑戦したいと思っています」

11月7日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
『モンテ・クリスト伯』

story_順風満帆な人生を送っていたダンテス(P・ニネ)は、無実の罪で投獄。14年の獄中生活で、ある財宝のありかや脱獄の方法を知った彼は見事脱出。財宝を探し当て、謎の大富豪モンテ・クリスト伯と名乗り、自分を陥れた者への復讐に乗り出す。

監督:マチュー・デラポルト、アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール/ 原作:アレクサンドル・デュマ・ペール/出演:ピエール・ニネ、バス ティアン・ブイヨン、アナマリア・ヴァルトロメイ ほか/配給:ツイン/公開:11月7日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
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© 2024 CHAPTER 2 – PATHE FILMS – M6 FILMS – FARGO FILMS

『モンテ・クリスト伯』

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  • Anamaria Vartolomei 1999年4月9日、ルーマニア生まれ。
  • 11月7日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー 『モンテ・クリスト伯』
  • 11月7日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

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text : Masamichi Yoshihiro

otona MUSE 2025年12月号より

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よしひろまさみち/映画ライター

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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