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よしひろまさみち

「YA小説に足りなかったのは女性のエンパワーメント」プライムビデオ『過ち』3部作原作者に聞く

「YA小説に足りなかったのは女性のエンパワーメント」プライムビデオ『過ち』3部作原作者に聞く

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今月のシネマミューズは、メルセデス・ロン

Prime Videoで配信されているスペイン映画『過ち』3部作。ベストセラーになったヤングアダルト小説の映画化で、『俺の過ち』『君の過ち』『私たちの過ち』の3作が欧州〜中南米で大ブレイクし、その人気は英語圏にも波及。ロンドンを舞台にしたリメイク『俺の過ち:ロンドン編』も作られて大ヒットしています。これを生み出したのが、スペインの作家メルセデス・ロン。同ジャンルで大ヒットした『トワイライト』シリーズのブレイクを彷彿とさせ、その著者ステファニー・メイヤーの次世代とも称されています。「『トワイライト』シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズをティーンのころに読みまくっていて、大ファンでした」というメルセデス・ロン。

Mercedes Ron 1993年6月1日、ブエノスアイレス生まれ。幼少期にスペインに移り、セビリア大学を卒業。10代から小説を書き始め、2015年にWattpadで発表した『俺の過ち』(Culpa Mía)が話題に。続けて発表した続編『君の過ち』(Culpa Tuya)、『私たちの過ち』(Culpa Nuestra)はさらなる人気を呼び、世界中で翻訳され映画化。ベストセラー作家としてニューヨーク・タイムズに取り上げられている。

「こうして『過ち』シリーズが映画化されてヒットしたのはとても嬉しいし、じつは書いているときから“これを映像にしたらどうなるかな”と想像していたんですよ。だから、映像になったら興奮するだろうロマンスはもちろん、スリル、アクションを盛り込んでいるんです」

 

主人公のノアとニックは、両親の再婚によって出会った義兄妹。超セレブなニックと庶民的なノアのライフスタイルや友人関係の対比から始まり、そこから急展開する恋、そして別離からの再会……と、急勾配のアップダウンがある構成で、まさに映画的。

「これを書き始めたころ、ノアのような強い女性キャラが必要だと感じていたんです」という彼女。「15歳から小説を書いていたんですが、当時のヤングアダルト小説に足りなかったのは女性のエンパワーメントと気づいたんですよね。それで生まれたのが本リーズのノア。自分の軸がぶれず、友情を重んじ、つとめて明るく振る舞います。が、その一方で実父の影響で得た車の運転技術があるので、レーサーとしてめちゃくちゃ強く、尊敬されるキャラクターです。今の若い女性たちが前向きに生きるためには、こういうキャラが必要だと感じています」

 

3作それぞれに“ワイスピ”のようなど迫力&高級車のカーレースが盛り込まれ、ノアの運転が超かっこいいのも、このシリーズの特徴のひとつ。疾走感のある恋物語だけでなく、家族や友人とのいざこざ、赦しなど、人間味溢れる演出にアクションまでプラスされ、エンタメほぼ全部盛り。一度観始めたら止まらないのも納得です。

 

「3年でこのシリーズが全部映画化されたおかげで、物語のファンがすごく増えたことは光栄です。大人の恋愛にはない、ある種の勢い任せな若い恋って、みんな大好きなんですよね(笑)。そして、この作品のおかげで私の人生も変わりましたし、このジャンルのファンのため、そして自分のためにも新しいストーリーを書き続けていきます」

Prime Videoにて独占配信中
『私たちの過ち』

story 熱烈な恋の後に破局したノア(N・ウォーレス)とニック(G・ゲバラ)は、共通の親友の結婚式で再会し気まずいときが流れる。お互いの日常に戻った2人だが、心のささくれが次第に私生活に影響を与え始め……。

監督:ドミンゴ・ゴンザレス/原作:メルセデス・ロン/出演:ニコル・ウォーレス、ガブリエル・ゲバラ、マルタ・アサス、エバ・ルイス、ビクトル・バロナ ほか/配信:Prime Videoにて独占配信中
© Amazon MGM Studios
© Pablo Ricciardulli

prime video『私たちの過ち』

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  • 『私たちの過ち』作家メルセデス・ロン
  • 熱烈な恋の後に破局したノア(N・ウォーレス)とニック(G・ゲバラ)は、共通の親友の結婚式で再会し気まずいときが流れる。
  • 監督:ドミンゴ・ゴンザレス/原作:メルセデス・ロン/出演:ニコル・ウォーレス、ガブリエル・ゲバラ、マルタ・アサス、エバ・ルイス、ビクトル・バロナ
  • 1993年6月1日、ブエノスアイレス生まれ。幼少期にスペインに移り、セビリア大学を卒業。10代から小説を書き始め、2015年にWattpadで発表した『俺の過ち』(Culpa Mía)が話題に。

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text : Masamichi Yoshihiro
otona MUSE 2026年1月号より

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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