これがおじさんの現実!?『デザイナー 渋井直人の休日』作者・渋谷直角にインタビュー!
otona MUSE編集長W(以下W) 渋井さんも独身だし、誰も気持ち悪いと思っていないから、そんなに自意識過剰にならなくていいよって、いつも読んでて思うんです。でも『黄昏流星群』にもならないでほしい。渋井さんは寅さんみたいなものなのかと思ってました。いつも成就しないって。
S 寅さんイズムはありますね。基本的には成就はしないっていうふうにはしてるんです。でもマンガにも描きましたけど、自分の中に若い子にはいけないっていう感覚が強くあるんですよ。僕のまわりだと、同年代の年齢が20代・30代にいくのってキモいって感じなんです。“うらやましい”が先に来なくて。時代もあるかもしれないですね。90年代、ゼロ年代はまだ受容されてた気もするけど、20年代はヤバそうな気がします。まあ、ちょっと、今回のエピソード(※otona MUSE 2026年2月号掲載)でそのへんも描けたらいいなと思っています。
W 違う意味で渋井さんはいつもキモいですよね。それが面白いんですけど。
――笑えるキモさを描いてるってことですかね。
S 気になった女性をSNSで検索して特定しだす回とか、ウチのお嫁さんは、これやめたほうがいいんじゃないかって言ってましたけど。でも作中でキモいって書かれていればいいんじゃないかなって思って。

W この連載って読んでる女性の年齢によって受け止め方が違っていて。『otona MUSE』の想定読者年齢は37歳ってしてますけど、幅があるんですよ。だから私含めて40代、50代の読者は“自分が渋井さん”って思って読んでる人もいるんです。女同士でも歳がかなり離れている場合は“自分だけ同い年感覚で話しているのではないか”と急に恥ずかしくなってくるというか、たとえば同じ韓国のアイドルを推してても、“一緒にされたくない、仲間じゃないし”って思ってるのかな、って不安になったり、向こうはこちらをおばさんと思ってるんだろうなって考えたり。渋井さんに感情移入する見方と、渋井さんから見た若い女の人と両方いるから、視点が違って、どっちも楽しめる。
S こないだ韓国に詳しい人と話してて面白かったのは、あちらではK-POPアイドルを20歳超えても応援するのって、恥ずかしいことだという感覚があるらしいんですよ。むしろ、20歳超えたら星野源とかネバヤン聴いてる、みたいな人も結構いるとか言ってて。

photograph:KOTORI KAWASHIMA
edit:HIDEYUKI TAKADA









