【ネタバレあり解説】二次元以上!? Netflix映画『10DANCE』見どころは「ジェンダーロールの崩壊」

最初に観たときは「っきゃー!」、次に観たときは「ぬほほ」、3度目に観たときにようやく「あ、『Shall we ダンス?』を超えるダンスもんがきた」と、奇跡のケミストリーに感激したNetflix映画『10DANCE』。井上佐藤の大ヒット同名BLコミックを、まさかの実写化したこの作品。12月18日に世界同時配信されるや否や、国内はもちろん、海外からのリアクションも絶好調。というか、悶え苦しむ観客の顔が目に浮かぶような感想がSNSで吹き荒れております。
それを後押ししたのが、世界中のSNSでバズリまくったダンス界のイケオジ、セルゲイ・シンキンスさんと竹内涼真さんのコラボ動画。『10DANCE』リリース記念イベントのために来日したんですが、これがもう……。ショート動画なのに、『10DANCE』本編でキャーキャー言ってる人には、さらに上を行く「ぎゃー!」ですよ。2次元のコミック原作から抜け出たような配役だった『10DANCE』を、さらなるリアル2次元化してくれちゃったんですよ。まだ観てない人はこちらからご覧を(https://www.youtube.com/watch?v=Gj909yMwbpY)。
と、なんの解説もなく語り始めてしまいましたが、『10DANCE』をレギュラーの「昨日、何観た?」で紹介するには文字数足りなさ過ぎる! ということで、別枠で参ります。ストーリーの説明とか基本情報はすっ飛ばして、ネタバレ上等で掘り下げます。未見の方へ……まずは本編観てからよ! この作品のすんばらしいところを、3つに絞って解説しまする。
まず、ダンス=スポーツ映画として傑作

Netflix映画 『10DANCE』12月18日(木)より独占配信中
ミュージカルじゃなくてダンスの映画ってそんなにたくさんあるわけじゃないし、なんなら社交ダンスを題材にした名作映画は日米で制作された『Shall we ダンス?』か、アントニオ・バンデラスのお色気ダダ漏れな『レッスン!』か。あれ? どっちもコーチレベルの、人生のベテランが主演。それがですな、『10DANCE』は町田啓太&竹内涼真という現役感バリバリのキャスティング。演じた役柄の杉木と鈴木は、踊る部門違いとはいえ、おたがいに競技ダンス日本チャンピオンとして現役でしのぎを削る設定。
これですよ、これ。スポ根的な要素を出すならば、この現役感が絶対必要なの。だって、コーチ級だったらダンスのイロハどころか一度は山の頂を見ているじゃない。日本の頂点は見たけど、世界に行くぞ、オー! っていう現役ならば、自分のパフォーマンスに何が足りないのかを切磋琢磨しながら見出していかないと、だし、それにまつわるトレーニング、レッスンを見せないと映画として成立しないんですわ。『10DANCE』では、スタンダード専門の杉木はラテンを、ラテン専門の鈴木はスタンダードを、と、共に日本では大会では敵なしの2人が、新しいことを学んでいく、という成長物語になってるんですね。競技ダンスを題材にした映画として大傑作。

text_MASAMICHI YOSHIHIRO
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。











