「親子だから踏み出せないことってある」2月27日公開映画『レンタル・ファミリー』山本真理インタビュー

役割を与えた人をレンタルする。赤の他人だけでなく、家族としても……。あらゆる派遣業があるものの、そんな仕事があるのは日本くらいのもの。そこに着目して、国や文化を超えた感動作に仕上げたのが映画『レンタル・ファミリー』。オスカー獲得後の初主演映画となるブレンダン・フレイザーが、東京在住で落ち目の役者を演じたことも話題だが、ほぼ全編日本で撮影されたハリウッド映画というのも異例。レンタル・ファミリー会社の社員・愛子を演じた山本真理は「個人的な経験からも、この作品は特別なものになりました」と語る。

Mari Yamamoto 1986年2月4日、東京生まれ。国際基督教大学卒業後、NYのリー・ストラスバーグ劇場映画研究所で演技を学ぶ。2014年にスクリーンデビューし、2022年から2シーズン続いたTVシリーズ『TOKYO VICE』の脚本コンサルタントなど兼務。2022年のApple TV+『パチンコ』で世界的に知られるように。
「じつは脚本をいただく直前に父が他界して。脚本を読んでみたら、父と娘というテーマが流れていたんですよ。私を含め、自分のアイデンティティが壊れてしまうくらい辛い喪失の経験を持たれた方がご覧になると、人をレンタルする話だけでなく、親子だからこそ他人が介在することでうまくいくことがあるかもしれない、と思っていただけるんじゃないでしょうか。たしかに架空の家族をレンタルするっていう設定は特殊かもしれませんが、親子だから踏み出せないことってありますし、そこで手を差し伸べてくれる人がいることで勇気を持つことができるってこともあるんだ、ということを教えてもらった気がします」
彼女が演じた愛子は、フレイザー演じるフィリップをサポートする同僚。クライアントの要望を理解できないフィリップに対して、そっと日本人の価値観を教えていく。「外から日本を見る機会が多い私からすると、今の日本にはいろいろと問題があるものの、言葉にはできない優しさに心を動かされることが多いんですね。これは他の国はないし、日本にいらっしゃる観光客の人たちも感じてること。これが日本の持つ力だと思っていて、これを広めることで世界を動かすことができるんじゃないかと思うんです。日本のあらゆることってつい内向きになりがちなんですけど、異なるカルチャーがぶつかり合ったこの映画で得られることのように、冷静にお互いのいいところ、悪いところを学び合っていくことで、世界はもうちょっとうまくまわるようになるんじゃないでしょうか」
彼女が脚本を手がけたTVシリーズ『TOKYO VICE』も、任侠とジャーナリズム、日本とアメリカというカルチャークラッシュを描いた傑作だ。「私が脚本家として関わっていた『TOKYO〜』ではHIKARI監督が2エピソード、監督を務めているんです。そのときから彼女の仕事がとてもかっこいいと思ってたんですよね。オーディションのお話をいただいたときはすごく嬉しかったですし、今回ご一緒できて光栄でした」
2月27日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
『レンタル・ファミリー』

story_過去に日本のお茶の間で人気だったアメリカ人俳優フィリップ(B・フレイザー)は、ある仕事をきっかけにレンタル・ファミリー会社を経営する多田(平岳大)と知り合う。仕事に恵まれていなかった彼は、多田の誘いに乗り、同僚の愛子(山本真理)と共にクライアントと接し始めるが……。

監督:HIKARI/出演:ブレンダン・フレイザー、平岳大、山本真理、柄本明、ゴーマン・シャノン・眞陽 ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/公開:2月27日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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text : Masamichi Yoshihiro
otona MUSE 2026年3月号より
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。









