「私にとってはセラピーのようだった」今月のシネマミューズは『マジック・マイク ラストダンス』出演のサルマ・ハエック!
Salma Hayek Pinault
サルマ・ハエック=ピノー
官能をエンタメにすると心が晴れる!
女性が自分を解放する場としての男性ストリップダンスを世界中に知らしめた2012年の映画『マジック・マイク』。続編の『マジック・マスクXXL』(2015年)も大ヒットし、その後、映画の主演を務めたチャニング・テイタムや振付師などが監修を手がけたライブ・ショー『マジック・マイク LIVE』もラスベガスなどで大絶賛され、男性ストリップがアンダーグラウンドなショーではなく、エンタメとして受け入れられるように。シリーズ最終作『マジック・マイク ラストダンス』は、いかにこのシリーズが女性の価値観を変えたかを描き出す。「私はこの映画に対して先入観をもっていた」というのは、本作で主人公のマイクにチャンスを与える大富豪の女性マクサンドラを演じたサルマ・ハエック=ピノー。
「でも、脚本を読んだときに、想像以上の内容で、ダンスもすごいと気づいた。撮影現場に入ったとき、素晴らしいダンサーたちがそこにいた。ストリッパーじゃないの。彼らは技術的にも高度な素晴らしい芸術作品を作り上げていたの。予想だにしなかったことで、最初にもっていた先入観から大きく変わったのよ。私にとってはセラピーのようだった。この映画から受け取ってほしいのは、からだを通しての官能的、精神的なつながり。ただからだを動かしたり、いちゃついたりするのとは違う。この映画を観た観客が、お相手と今までにないようなダンスを踊ってくれると嬉しいわ」
マクサンドラはマイクが元ストリップダンサーだったことを知り、彼にパフォーマンスを見せてくれるように頼み込む。渋々彼が披露し始めたそのダンスは、曇っていた彼女の心を晴らし、一気に魅了される。そこには恋や性的なものはなく、ただただ夢をもつ力を与えられたことに感動するのだ。
「マクサンドラもそうだけど、ラストのダンスシーンでダンスを観ている人々の反応が興味深いものだった。大きな喜びが溢れていたわ。女性の官能性は、歴史的に女性にとっての痛みを作り上げたと思うの。それは私たちにとって辛いものだった。だから、同じ場所に集まった女性たちがそれを見て笑っていて、自分たちで楽しんでいるのを見ていて、感動したの。そのストリップダンスショーの場自体は性的な環境ではあるけど脅威が感じられない、安全な場だということにも彼女らは反応していたわ。それがすごく興味深いと思った」
『マジック・マイク ラストダンス』
text:MASAMICHI YOSHIHIRO