「彼女に最初に会ったのは、この映画について初めて話し合った15年くらい前で、そのときに“ジェニファー、私を演じて”と直々にオファーされたのよ。私にとって彼女は雲の上の人だから、彼女を演じることへの喜びと同時にプレッシャーがあったわ。それだけじゃない。彼女の功績を正しく、素晴らしいものに仕上げないといけない、という個人的な責任感も生まれたの。だから、この作品では私をプロデュースも兼務することにしたのよ」
彼女の曲で育ったというジェニファーだけど、それでもこの作品のためのリサーチで初めて知ることも多々あったそう。
「私が初めて聞いた彼女の曲は『Dr.Feelgood(Love is a Serious Business)』。そのときに大人達が、“あの時代にああいう題材でああいう曲を作ってしまう彼女の大胆さ”と話していたのを覚えてる。彼女の曲にまつわる思い出はたくさんあるけど、改めて彼女のことを調べていて、あのときの大人が言ってたことの理由が分かったのよね。彼女が公民権運動にどう関わって、キング牧師とも近い関係だったってこととか。私のキャリアのためにも、すごく勉強になる仕事だったわ」
彼女を演じて得られた最大のこと、それにこの作品での最大のポイントは同じというジェニファー。はて、それは?
「自分を信じる心をキープし、自分の持つ力を自分自身で発揮することよ。アレサの人生はその試行錯誤の連続だった。でも、それによって自分の声を確立し、ソウルの女王となったのよ。私もこの仕事でその考えに確実に影響を受け、これからの人生で何をすべきか見えてきた気がするの」
『リスペクト』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
story 幼いころから天才的な歌唱力を持っていたアレサ(J・ハドソン)は、父のすすめでレコードデビューをするが鳴かず飛ばず。ヒットを出したい強い思いを持つ彼女は、夫のマネジメントでレコード会社を移籍するが……。