「大好きな漫画ほど実写化されるのが嫌」現場に原作を持ち込んで挑んだ映画『アンダーカレント』主演・真木よう子インタビュー
よしひろ
「劇中で銭湯のお掃除や、薪割りをしていますけど、銭湯の裏側をみたお気持ちは?」
真木
「薪割りなんて初めてでしたし、そもそもボイラーじゃなくて薪でお湯を炊くのも全く初めて見ることだったのでびっくりでしたね。こんな手作業の多い仕事なのか、とか、薪で炊いたお湯が柔らかいというようなこと、とか。お風呂にまつわる初耳が多かったです。それにこういう昔ながらのタイプの銭湯は、子どものころに行ったきりだったので、懐かしい気持ちになりました。しかもあんな大きいお風呂の一番風呂に入れましたし(笑)」
よしひろ
「ひとりで銭湯を切り盛りしているかなえのところにやってきた堀を演じた井浦さんですが、共演はいかがでしたか?」
真木
「すっごく優しい方ですし、頼りきりですよ(笑)。神様みたいな優しさなので、私、“樹齢100年の木”って呼んでたくらい」
よしひろ
「(笑)!」
真木
「しかも優しいだけじゃなくて、お芝居で一定の距離感を守ってくれる人なんです。かなえは堀のことをもっとよく知りたいと思っているから、かなり距離を詰めていくんですが、井浦さんが距離感を保ってお芝居をしてくれるので、私はそこにのっかるだけ。堀を井浦さんがやってくれて本当によかったと思います」
よしひろ
「作品のテーマのひとつでもある人との距離感ですね。真木さんご自身としても一定の距離感はあったほうがいいタイプ?」
真木
「私が今、娘にやってることがまさにそうで。彼女、反抗期まっただなかなんですよ。親子でありながらも、でも、やっぱり分かんないとこは、分かんない。自分の子どもだけど、多分本音じゃないっていうことぐらいは分かるし、本音を無理に聞こうとするのも違う。そういうときは“分かった。なんも言えなかったら、ママ、サンドバックになるから”と。そうすることで気が済むならそれでいいんですよ。つっこみすぎず、でも幸せでいてほしい。居場所はここだから、とちゃんと教えてあげたいですしね。そうすることで、多分伝わるんだと思ってます」
text:よしひろまさみち