主演のジャズ・シンクレアが語る『ザ・ボーイズ』のスピンオフ『ジェン・ブイ』の魅力とは
大学生スーパーヒーローの虎の穴
企業によって管理されたスーパーパワーを持つ人々の活躍と葛藤を描くシリーズ『ザ・ボーイズ』。Amazon Prime Videoで独占配信中の人気作だが、そのスピンオフ『ジェン・ブイ』は、その世界線での若い能力者たちのお話。『ザ・ボーイズ』と同じく、ある企業が運営する大学にヒーロー候補生として集められた能力者たちが、大学内のランク争いやあらゆる挑戦を強いられるという物語だ。主人公のマリーは、自分の血液を武器化することができる18歳の少女。10歳のころにその力で誤って両親を殺してしまったトラウマを持っている。マリーを演じたジャズ・シンクレアに聞いた。
「マリーは血を操ることができるから、人の命を救うことだってできる。でも、この作品の冒頭ではまだそれに気づいていなくて、自分が扱えるのは自分の血だけ、って思い込んでいるのよ。この作品に出てくる子どもたちは、大人のスーパーヒーローたちと比べて理想主義を持っていて、ヒーローにも悪にもなりきれていない。私にとって、それはすごく興味深かった。だって、彼らがどっちに転がるか、展開がすごく面白いからね」
ある種、人情のようなものが壁となり、ヒーローになるか、それとも悪に染まるかという選択に直面するティーンエイジャーを描く本作。「みんな人間らしくて魅力的」と彼女は言う。
「だって、悪い方向にいってしまう選択も、人間だったらあるわけだから。経験を積んだ一人前の大人だったら、そうはならないかもしれないでしょ。それに、若いからこそなんだけど、恋愛や友情などで人生が変わっていくのも、この作品独自の見どころだと思う」
では、マリー自身の心変わりについては?
「私はマリーの心の変化が大好き。彼女がこの学校に入ってきたときって、すごく孤独でもう自分には誰にも頼る人がいない、それにもう人生詰んでる、って思い込んでいるの。でも、学校での経験は驚きの連続。彼女の人間関係や友情、学校の恐怖、彼女が信頼するように教えられたこのシステムの崩壊に驚かされるのよ。そしてそれによって、彼女が自分の持っているまだ知らない力に目覚めていくんです」
大学に隠されていた秘密に気づいてしまうマリーは、不測の事態に巻き込まれていく。そこが『ザ・ボーイズ』とのリンク点に。
「ヒーローのあり方や大学を運営し、ヒーローの管理をするヴォート社については、『ザ・ボーイズ』のほうが詳しく描いているから、もし余裕があったらそっちも観たほうがいいと思う。だけど、この作品はこれだけで成立している作品だし、なにより大学生の話だから、気軽に楽しんでほしいわ」
text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2023年12月号より