アカデミー賞11部門ノミネート『哀れなるものたち』主演のエマ・ストーンが性的な表現が多くても出演を決意した理由とは?
祝ゴールデングローブ賞
最優秀主演女優賞!
アカデミー賞では11部門でノミネート!
ハリウッドの映画賞シーズンが始まり、そのど頭となる第81回ゴールデングローブ賞授賞式が、さる1月7日に開催(米国時間)。見事、ミュージカル/コメディ部門の最優秀作品賞と最優秀主演女優賞を獲得したのが『哀れなるものたち』です。さらには1月23日に発表された第96回アカデミー賞でも作品賞、主演女優賞をはじめとする11部門でノミネート。アカデミー賞を頂点とする映画賞レースが、この結果によってどう動くか注目されます。R18+になった理由は、最初から最後までひたすらに性的描写があるから。なのに女性の自立とアイデンティティの確立を訴えるという、驚きの作品です。その主人公ベラを体当たりで演じたエマ・ストーンは、授賞式前の取材は会見1回こっきり! その貴重な受賞前夜のコメントをお届けします。
「監督のヨルゴス・ランティモスとは『女王陛下のお気に入り』(2018年)以来、2度目の仕事ですが、お互いを理解し合う仲になりました。プロデューサーとして共同作業を行う上では信頼できるパートナーであり、俳優としてみると(どんなリスクのあるシーンの撮影でも)守ってくれる頼りがいある監督。キャストだけでなく、クルーも含めて一種のコミュニティを作り上げることができるリーダーってすごく少ないんですよ。物語が非常にセンシティブだからこそ、彼のような監督でないと成立しませんでした。私が演じたベラは、物語上性的な表現が多いから、リスクだと思われるかもしれません。でも、脚本を受け取ったときに、リスクなんて考える余地さえないほど素晴らしいキャラクターだと思い、即決で引き受けたんですよ。彼女は、非常に純粋な喜びと好奇心の塊で、恥やトラウマがない女性。それを経験していない人はなかなかいないと思いますし、大人になるとそうはいきませんよね。だから、演じる上での素晴らしい贈り物は、大人が気にする世間体みたいなものを全て取っ払った解放感でした。役作りに関しては、ヨルゴスも私も、キャラクターの心理や内面で何が起こっているかについてあまり多く話すのは好きではありませんでした。ほとんどが私に任されたんです。だからこそ、衣装に助けられた部分は大きかったですね。ベラは環境に適応し成熟するにつれて、より構造的な服を身に着けるようになるから、彼女の内面について衣装を身に着けることで理解していくということができたんです」
text:Masamichi Yoshihiro
photo:Eamonn M. McCormack / Getty Images for Walt Disney Studios Motion Pictures UK
otona MUSE 2024年3月号より