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よしひろまさみち

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アカデミー賞脚本賞を獲得した『落下の解剖学』は、何度観ても結果を知っていても面白い!【よしひろまさみち】

落下の解剖学

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『落下の解剖学』

落下の解剖学

story 雪山の山荘で転落死した夫の死因が疑われ、人気作家の妻サンドラ(S・ヒュラー)が訴えられる。遺体を発見したのは、視覚障害のある11歳の息子ダニエル(M・M・グラネール)。彼しか証人のいない裁判は紛糾し……。

監督:ジュスティーヌ・トリエ/出演:サンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール ほか/配給:ギャガ/公開:現在TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー公開中
©LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

★オリジナルの作品がお好きな方へ★

アカデミー賞の結果が発表されて、日本作品の受賞ばかりが取り沙汰されていますが、他の作品も観て! と願いつつ、脚本賞を受賞した現在公開中のフランス映画『落下の解剖学』を自らおかわり。これ、マジですごいんすよ。


転落死した夫の検死結果が、ただの転落事故ではなく殺人の可能性も否めないとなり、妻のサンドラが第一容疑者に。遺体の発見者は視覚障がいを持つ息子のみ。さぁさ、どうなる! っていう法廷劇です。ただの法廷劇ならここまで推しません(法廷劇って推理+密室のパターンが多いから)。なにがすごいって、多言語・多文化が介在する裁判なのね。サンドラが容疑者になったのは、夫との間の不和があったから。その証拠が音声ファイルで残っていたのが致命的。で、当然法廷でつめられます。サンドラはドイツ人の英語話者で、フランス語は日常会話程度(夫はフランス人)。で、裁判は事件の起きたフランス。ってことは、母語じゃない(けど、だいたいは分かる)言語でつめられるんですよ。これが恐怖。いや、通訳いるんですけど、自分の言葉で表現できないもどかしさたるや……。


こんなことを思いついた監督、マジ天才。何度観ても、結果が分かってるのにおもろい。脚本賞受賞は当然だわさ、ってこと、ご覧いただくと分かると思いましてよ。おほほのほ。

落下の解剖学

仲睦まじい思い出写真

落下の解剖学

裁判の鍵を握る息子

落下の解剖学

やらかしサンドラ泣くよねー

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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