なぜ今? 36年前の日本映画『異人たちとの夏』を現代のイギリスを舞台にリメイクした『異人たち』
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『異人たち』
★おひとりさまがお好きな方へ★
またおかわりしてしまった……。なんせあまりにもいいんだもの、『異人たち』。山田太一の小説が原作で、大林宣彦監督によって映画化もされた『異人たちとの夏』を、イギリスを舞台にリメイクした作品どえす。
元があるとはいえ、元は知らないでも読まないでも観ないでも大丈夫。というか、逆にオリジナルの小説や映画は、『異人たち』を観た後でチェックしていただけるとありがたし(もちろんすでに読んだり観たりしたことがある人は、よりマスト)。早くに亡くした両親の霊と再会した中年男が、孤独を貫いてきた人生ってなんだったんだろう……って振り返り、さぁ次はどうする! っていうお話。
これに関してはオリジナルも今回のバージョンも同じ。変わったのは国とセクシュアリティ。ゲイなのですよ。で、今の中年のゲイ(あたしも含む)は、お友だちはもちろん親にカミングアウトするなんてもってのほか! っていう青春時代を過ごしたから、そのトラウマを抱えて孤独を選ぶ人も多かった、という背景をご理解いただけると、この物語の中核にあるものがクッキリ見えてきます。
そのへんのこと、じつは本編をご覧になった原作者の山田太一さんのご家族の方々が語ってらして、それが劇場パンフに載ってますの。それを読むとさらにクッキリハッキリ。いやー、おひとりさまって固定観念持たずに考えることが多くて可能性無限大だわ~、と当事者のあたしは思ったんですが、みなさんどう思うかしらん。