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よしひろまさみち

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レゲエ界のレジェンドの生涯を描いた『ボブ・マーリー ONE LOVE』が今、作られた意味を考えたい

ボブ・マーリー ONE LOVE

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『ボブ・マーリー ONE LOVE』

ボブ・マーリー ONE LOVE

story 1976年、独立に伴い2大政党が対立したジャマイカ。国民的アーティストのボブ・マーリー(K・B=アディル)は、政争に巻き込まれて銃撃されてしまうが、2日後のコンサートに出演。だが、あまりの騒乱に彼はロンドンに逃れ……。

監督:レイナルド・マーカス・グリーン/出演:キングズリー・ベン=アディル、ラシャーナ・リンチ、ジェームズ・ノートン ほか/配給:東和ピクチャーズ/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中 ©2024 PARAMOUNT PICTURES

★レゲエやラスタをファッションだと思っている方にこそ★

お仕事もあったんで、見直しおかわり鑑賞しました、『ボブ・マーリー ONE LOVE』。皆さんご存知よね、レゲエ界のレジェンド、ボブ・マーリー。ほぼアイコン化している彼の伝記映画が、なんでこれまでなかったんだろう、って不思議に思ってしまったんだけど、今作られた理由がよ~く分かるのよ~。


まず、ボブ・マーリーがアイコン化した理由は、彼しかできないことをやったから。音楽って政治とは無縁というか、一番遠いところにあるべき、って思っている人が多いと思うんだけど、ノンノン。民衆の声を代表するのが音楽。それをやってのけたのがボブ・マーリーってわけです。で、彼の偉業ってのは、ざっくりいうと、独立の混乱時にあったジャマイカにいた一般の人たちの声を代弁したってわけよ。だって、一般の人たちは戦いや諍いを全く求めてないのに、覇権争いをしている人たちが安全をおびやかしてたんだもの。で、その間に挟まれちゃったのが、国民的アーティストである彼だったっていうお話。


いや、マジでこれ今の社会そのまんまじゃね? って思うから。音楽にしても映画にしても、人の心を豊かにする「文化」のなにかしらが、やばくなった世の中には必要だし、なんならそれが世界を変えるきっかけにもなるかもしれんのよね。と、再確認できる超立派な伝記映画なの。ラスタカラーを一般化させたレゲエの祖、っていう立ち位置のボブ・マーリーも正しいんだけど、その裏にある意味を知るためにも、とってもいいお勉強になりますのよ。おまけに説教臭くないからー!

ボブ・マーリー ONE LOVE

ボブ・マーリー役はキングズリー・ベン=アディル。彼がマルコムX役をやった『あの夜、マイアミで』(Amazon)も傑作なのでぜひ!

ボブ・マーリー ONE LOVE

安全第一で子どもたちはジャマイカ、ボブはロンドンなのよ〜

ボブ・マーリー ONE LOVE

世界中が注目してたのよね〜。ちなみにご健在時、中野サンプラザ公演もしておりますのよ

『ボブ・マーリー ONE LOVE』公式

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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