「私、イマジナリー・フレンドはいなかったの」ケイリー・フレミングが語る映画『ブルー きみは大丈夫』
今月のシネマミューズは
『ブルー きみは大丈夫』出演のケイリー・フレミング
子ども時代にアルアルな「そのコにしか見えないお友だち」=イマジナリー・フレンド。いわばトトロ的なサムシングですが、もし彼らが「子どもが忘れると存在すら消える」という悲しい運命だとしたら? そんな仮定のもと生まれたファンタジー大作が『ブルー きみは大丈夫』。ある日突然モフモフのブ ルーのほか多くのさまよえるイマジナリー・フレンドが見えてしまった少女ビーが、彼らを救うための大冒険を始めます。ビーを演じたのはドラマ『ウォーキング・デッド』で人気を得た子役、ケイリー・フレミング。なんと「私……じつはイマジナリー・フレンドはいなかったのよね……」とポツリ。マジか。
「そのこと、監督にも“マジ!? ”って言われたんだけど、本当なんですよ。経験がないから、想像で演技するしかないし、そもそもブルーをはじめとするイマジナリー・フレンドはみんなCGだから、かなり難しい撮影になるんだろうな、と撮影前は不安でした。7歳からお芝居を始めて、もう10年。一応キャリアとスキルは持っている! と気分を盛り上げて現場に行ってみたら、驚くことに監督がすごい工夫をしてくれたんですよ。こういうCGキャラクター相手のシーンは、だいたいグリーンバックで、キャラクターの顔があるあたりにテニスボールを設置してお芝居をするものなんだけど、そうじゃなかった。必ず人間か巨大なパペットがイマジナリー・フレンドの役をやってくれたんです。それはかなり助けになったし、監督が相手役になってくれたときはずっと私のことを笑わせようとしてくれたんです(笑)」
キャリアは十分。しかも、CGキャラの代わりもほぼ役者(監督も俳優で本作に出演)。では難しかったことは?
「1日だけあったわ。ビーが住んでいる家は、なぜかやたらめったら階段があるんだけど、ある日の撮影でひたすら上ったり下りたりの繰り返しがあったんですよ。合間で衣装替えが何度もあったりで、ちょっと休んで……っていう暇もなかった。そのうえ、何度もテイクを重ねるもんだから、その日の最後はぐったり。体力勝負よね……(笑)」
ビーとコンビを組むのはライアン・レイノルズ演じるカール。ビーの隣人で、奇跡的にイマジナリー・フレンドが見えてしまう唯一の大人。7月に全世界公開される主演作『デッドプール&ウルヴァリン』の人気者との共演については「なんて言ったらいいのか……超ラッキー(笑)」と大喜び。
「出会えただけでラッキーなのに、ライアンってめちゃくちゃ優しくて面白くて、褒め言葉しか出てこない大先輩なんですよ。共演することで、俳優として成長する機会をゲットできた、と思うし、彼の仕事ぶりはとても参考になりました」
text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2024年7月号より