偽の殺し屋の実話映画。9月13日公開『ヒットマン』の見どころをヒロイン、アドア・アルホナが語る!
共同作業で生まれた、実話ベースの超絶エンタメ
『ヒットマン』
リチャード・リンクレイタは、主演のグレン・パウエルと彼が長年気にしていた実話をベースにした『ヒットマン』。一般の男性が、警察のおとり捜査の殺し屋役で捜査協力を始めたことで、思わぬ才能を開花。そしてとんでもないことに巻き込まれていく……というお話。実話ベースとは到底思えない超絶エンタメなエピソードだが、もとはテキサスの地元紙で取り上げられていたことが監督とグレンの心を掴んで離さず、この作品になった。この作品でヒロインのマディソンを演じたアドリア・アルホナは「マディソンの二面性に惹かれた」と語る。
「彼女は誰もが持っているようなありふれたキャラクターを再構築したい、と願っている女性。でも、脚本を最初に読んだときは、いったいどういう映画になるのか全く想像がつかなかったんですよ。アクションでもないし、クライム・サスペンスともちょっと違うし。どのジャンルになるんだろう、って不思議に思って、疑問を監督にいろいろとぶつけてみたんです。彼は全ての質問に答えてくれて、私はとにかくこの作品に関わりたい! って思うようになりました」
彼女が演じたマディソンは、夫のDVに苦しみ「殺し屋ロン」にふんしたゲイリーに接触。殺しの依頼をしたことで、2人は急接近。
「マディソンがロンと出会ったときは、彼女はどん底だった。そこで、ロンが物理的に彼女を助けるのではなく、彼女に自信を与えるアドバイスをしてくれたことで、だんだんと好意を持つようになるんです。しかもロンと一緒にいるときの彼女は、自分のことを無敵と思えるようになり、堂々と自分の人生をエンジョイするようになる。彼女は変わるチャンスを欲していたんだと思う」
監督とグレンの共同企画ともいえる本作。彼らと働いてみてどうだったのか。
「グレンとリンクレイターと私の3人で朝から晩まで脚本について話し合いを重ね、修正を加えていきました。特に彼らは、マディソンのキャラクターを作るにあたって、私から多くの意見を出してほしいと言ってきたので、遠慮なく議論させてもらった。意見を聞いてくれただけでなく、実際に活かしてくれたのは最高に嬉しかったですね。3人でできることを全て行ったおかげで撮影自体はとてもリラックスして楽しく挑むことができたんだと思います。これは、リンクレイター監督独特の仕事法のひとつだと思うし、とても勉強になりました」
text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2024年10月号より