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よしひろまさみち

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YOUさんが世界へ!? A24制作のサスペンス・スリラー『サニー』の第9話がやばすぎた

サニー

ちょっとした時間があるとき、まだ見てない映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『サニー』

サニー

story 近未来の京都。飛行機事故で夫マサ(西島秀俊)と息子を失ったスージー(R・ジョーンズ)のもとに、マサの会社の上司と名乗る男が現れる。彼はマサが開発しサニーと名付けたという家庭用ロボットをスージーに渡すのだが……。

監督:ケイティー・ロビンス/出演:ラシダ・ジョーンズ、西島秀俊、ジョアンア・ソトムラ、國村隼 ほか/配信:Apple TV+にて独占配信中 画像提供 Apple TV+

★YOUさんお好きな方へ★

いやー、待ってましたよ、これを紹介するとき。AppleTV+で配信中の『サニー』なんですが、もっとも狂ったエピソードが配信されるまで我慢してたの~。いや、全体的に頭おかしい感じで最高なんですけどね。


アメリカの超とんがったスタジオ、A24製作によるサスペンス・スリラー。原作は翻訳されていないけど、日本が舞台で日本人もたくさん出てくるのね。で、西島秀俊さんやYOUさん、ジュディ・オングさん、國村隼さんなど、日本でおなじみの俳優さんたちがドドッと出演しております。で、このドラマ版は、近未来の京都を舞台に、先進的な家庭用ロボット開発会社にひそむ闇を追うヒトコワものでございます。主演格の西島さんは、ラシダ・ジョーンズが演じるスージーの夫役。1話から飛行機事故~行方不明になっており、出演シーンは全部回想劇になりまする。


さて、その狂ったエピソード。第9話になるんだけど、スージーのお供のロボット・サニーが、なぜか日本のバラエティ番組に出てる設定。このエピソード、まじで唐突にインサートされているので、「ファ!?」って二度見したよね。だって、それまではスージーがロボット会社に侵入してやべーもん見つけたり、そもそもスージーが夫にも嘘つかれていたとか、不穏なことがてんこ盛りの一般的サスペンスの展開だったのよ。ところが、このエピソードは突然ファンタジー。それまでの登場人物がバラエティ番組どんどこ出てきてははっちゃけて、それを見ているサニーちゃん困惑……という。まじで謎過ぎる。なのに、そのエピソードがないと次には進めないという重要な話になっているの。しかも、特定のバラエティ番組ではなく、昭和のバラエティ番組をマッシュアップしたみたいなセットや進行で、それを知ってるあたしらはいいとして「これ、海外の人が観たらクレイジーとしかいいようがないでしょ」と思うことしきり。こんなのよく思いついたわ~。


そして最後に一つ。西島さんや國村さんはすでにメジャーな海外作品に出演してるから「さすが」なんですが、ジュディ・オングさんとYOUさんの印象が強烈なの。そもそも台湾出身のオングさんは、「せやった……この人マルチリンガルだし、この手の役ぴったり」と目からウロコ。そしてYOUさんが最強。基本日本語セリフしかない役ではあるものの、冷淡でクレイジーなボス役(何のボスかは観てからのお楽しみ)がお見事しか言えないのよ! この才能、世界に見つかっちゃったよね~。

サニー

ラシダ・ジョーンズさん、西島さんの妻役なの

1話からして失踪してる設定(だけど、めちゃ出てきます)

サニー

家庭用ロボットの進化系サニーちゃん。可愛いツラしてデキるコ

よしひろまさみちさんの9月マストな映画&カルチャー

text:MASAMICHI YOSHIHIRO

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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