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『極悪女王』をもっと楽しめる!よしひろまさみちが解説する【80年代女子プロレスブーム】とは?

極悪女王

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。

よしひろさん、「きのう何観た?」
Netflixシリーズ『極悪女王』

極悪女王

story 父親のDVに、母、妹とともに苦しんだ少女時代を過ごした松本香(ゆりやん)。彼女は、唯一の逃げ場でもあった女子プロレス界に憧れ、大人気だったビューティーペアのような正統派レスラーを目指す。が、ライオネス飛鳥(剛力)と長与千種(唐田)など仲間たちがブレイクする一方、彼女はレスラーとしては崖っぷちに……。

総監督:白石和彌/出演:ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽、 ほか/配信:9月19日より、Netflixにて独占配信 ©Netflix

★女子プロレスブームをご存じない方へ★

80年代に女子プロレスブームがあったことをご存じの方、はーい! ……っていってんの、あたしくらいなのかしら……(違っててくで~)。配信が始まるや否や話題沸騰しているNetflixシリーズ『極悪女王』は、あのときの熱気をそのまま再現した、ブームの中核を担ったダンプ松本さんの伝記ですの。あのときを知ってる人(あたす)からすると「これよこれ!」なんですが、ご存じない方には「はて……?」ですよね。ということで、なにがどうおもろいのかおしらせしますわ。


まずですが、ダンプ松本さんを中心としたヒール役集団・極悪同盟と、ライオネス飛鳥さん&長与千種さんによるクラッシュ・ギャルズを中心としたアイドルレスラーの対立構図が、80年代のお茶の間ではおなじみだったんですね。でも、このドラマのすごいところは、それ以前に女子プロレス人気の火付け役がいて、それが後のダンプさんになる松本香の心を動かしたってところから物語を始めているところ。70年代にもアイドルレスラーがおりまして、一斉を風靡したのはビューティ・ペア。マキ上田さんとジャッキー佐藤さんによるデュオです(もっというと、それ以前にマッハ文朱さんやミミ萩原さんがいたんですけど、本作では割愛してます)。彼女たちが本格的なレスリング試合だけでなく、テレビの人気ジャンルであった歌番組でも大活躍したことによって、一気に女子プロレスがお茶の間で知られるようになったの。

 

これを観た少女時代の松本香、「きれい~、かっこいい~」と憧れるだけでなく、不遇な家庭環境から抜け出すための目標にするんですね。これがこのドラマ最初のエモさであり、当時の熱が一番分かるパート。そこからプロレス界入りした彼女は、なかなか才能の芽が出ずにいたところ、次なるビューティ・ペアになった同期のクラッシュ・ギャルズの活躍を横目に、「どうすりゃええのん……」となるわけ。で、ダンプ爆誕。このくだり、物語中盤ですが、あまりにもリアルに描かれ過ぎてて、おそらくこれを知らない人でも胸が痛くなるほど。


いやー、マジでよい。あの熱気を知ってる人はもちろんだけど、知らない人こそ観てほしいわ~。ちなみにライオネス飛鳥を演じた剛力彩芽さん、長与千種さんを演じた唐田えりかさんのインタビューはすでに当サイトにて掲載中ですので、ぜひそちらもあわせて読んでね~ん。

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極悪同盟爆誕!

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クラッシュ・ギャルズ、爆売れしたんすよ

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ダンプ覚醒シーンからゆりやんさんが超ヤバいの

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70〜80年代の女子プロレスラー、かっけーのよ

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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