11月のオススメ社会派映画2本『拳と祈り ―袴田巖の生涯―』と『まぜこぜ一座 殺人事件』見どころは?
映画ライター・ムービージャーナリストのよしひろまさみちさんが11月もマストな映画&カルチャーをモリモリお届けします〜。
無罪判決が出たあの人に密着
『拳と祈り ―袴田巖の生涯―』
1966年に起きた殺人放火事件の容疑者として逮捕、死刑判決を受けて47年7カ月もの間、獄中生活を送った袴田巖さん。そして、彼の無罪を信じて働きかけてきた彼の姉・秀子さんを長年追い続けたドキュメンタリー映画『拳と祈り―袴田巖の生涯―』が公開中です。事件の真実に迫ろうとするのではなく、冤罪の裏側、そして袴田さん姉弟のたどった苦難の道のりはもちろんですが、同じく冤罪で収監され、『ザ・ハリケーン』(1999年)として映画化もされたことがあるボクサーのルービン・“ハリケーン”・カーターとの交流も。必見の一作です。
まぜこぜ社会っていいと思う
『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座 殺人事件」』
マルチな活動で知られる東ちづるさんが多様性ある社会を応援する映画を発表。それが『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座 殺人事件」』。東さんらしく、芸能界やメディアにはびこる保守的な考え方に対してNOをつきつけるストーリーになっています。クライムサスペンスと思いきや、コメディで思いきり笑い飛ばしながら、鑑賞後は考えさせられる構成。ダイバーシティ&インクルージョンって言葉だけは知っていても、それって何? という人多いんじゃないでしょうか。そんな方こそ、この映画を観れば一発で分かっちゃいますよ。
text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2024年12月号より