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よしひろまさみち

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前作完全否定で賛否両論の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は妄想ミュージカル映画として楽しむべし!

前作完全否定で賛否両論の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は妄想ミュージカル映画として楽しむべし!

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

ジョーカー

story 殺人の罪で逮捕されたアーサー(J・フェニックス)は、世間ではジョーカーとして悪のカリスマ化。収監されていた彼は、元のアーサーらしく寡黙で無気力な男に戻っていたが、別房にいたリー(L・ガガ)と出会ったことで、暴力の扇動者としての一面が再覚醒する。

監督:トッド・フィリップス/出演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダン・グリーソン、キャスリン・キーナー ほか/配給:ワーナー・ブラザース映画/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中 ©2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

★ミュージカルがお好きな方へ★

ほぼネガキャンだよね、ってくらいにあまり芳しくない批評が出まくっている『ジョーカー』の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。前作は暴力礼賛っぽく見えてしまいタイプではなかったのですが、映画としては本当によくできていたのよね。で、この続編もよくできてるの。ほんっと。タイプじゃないけど。ってことで、ここまで芳しくない理由を確定しようと、おかわりしてまいりました。


今回のジョーカーは、暴力こそ正義、悪のカリスマ、ってことにすでになっているのね。ただし、彼は刑務所(医療刑務所)。なので、おとなしく人嫌いのアーサーに戻っちゃってる。そこにリーって女性が現れて、彼のジョーカースイッチがON!……ってな話。オチは言えないんだけど、前作を超好き! って方に苦手なこと全部盛りなんですよ。


ひとつ、ミュージカル。空白を埋めるかのように、妄想シーンなどで歌って踊る! あたし的にはアリ。ふたつ、暴力扇動の全否定。これにいきつくくだりは超ネタバレなので言いませんが、前作で描いたこと全否定しちゃうのよ。おそらくこれらだな~と。前作に歓喜した層にとっての期待はずれ。


でも、これでいいんだと思うんですよ。相変わらずタイプかタイプじゃないかって聞かれたら全くタイプじゃない映画ですが、作品の出来はいいし。何者かになりたいと願う人が、暴力の扇動でダークヒーロー化するなんて、ファンタジー世界だけにしてもらわないといけないもの。そこに決着つけたとするなら、この続編はよき~。ちなみにミュージカルシーンは、シナトラやバート・バカラックなどの名曲ぞろいですよ。

ジョーカー

ムショにおりますの、ジョーカー

ジョーカー

ほぼ多重人格ということがはっきり分かります

ジョーカー

歌って踊るとこは大多数が妄想シーンです

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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