前作完全否定で賛否両論の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は妄想ミュージカル映画として楽しむべし!
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』
★ミュージカルがお好きな方へ★
ほぼネガキャンだよね、ってくらいにあまり芳しくない批評が出まくっている『ジョーカー』の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。前作は暴力礼賛っぽく見えてしまいタイプではなかったのですが、映画としては本当によくできていたのよね。で、この続編もよくできてるの。ほんっと。タイプじゃないけど。ってことで、ここまで芳しくない理由を確定しようと、おかわりしてまいりました。
今回のジョーカーは、暴力こそ正義、悪のカリスマ、ってことにすでになっているのね。ただし、彼は刑務所(医療刑務所)。なので、おとなしく人嫌いのアーサーに戻っちゃってる。そこにリーって女性が現れて、彼のジョーカースイッチがON!……ってな話。オチは言えないんだけど、前作を超好き! って方に苦手なこと全部盛りなんですよ。
ひとつ、ミュージカル。空白を埋めるかのように、妄想シーンなどで歌って踊る! あたし的にはアリ。ふたつ、暴力扇動の全否定。これにいきつくくだりは超ネタバレなので言いませんが、前作で描いたこと全否定しちゃうのよ。おそらくこれらだな~と。前作に歓喜した層にとっての期待はずれ。
でも、これでいいんだと思うんですよ。相変わらずタイプかタイプじゃないかって聞かれたら全くタイプじゃない映画ですが、作品の出来はいいし。何者かになりたいと願う人が、暴力の扇動でダークヒーロー化するなんて、ファンタジー世界だけにしてもらわないといけないもの。そこに決着つけたとするなら、この続編はよき~。ちなみにミュージカルシーンは、シナトラやバート・バカラックなどの名曲ぞろいですよ。