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よしひろまさみち

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大統領選挙の結果次第ではこんな未来も? 映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』はアメリカの分断を描いたホラーより怖い1本

シビル・ウォー

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

シビル・ウォー

story 大統領の暴挙によってアメリカは二分され、テキサス州とカリフォルニア州からなる西部勢力と連邦政府による内戦が勃発。戦場カメラマンのリー(K・ダンスト)は記者のジョエル(W・モウラ)らと共に、大統領に単独インタビューを行うべく陥落寸前のワシントンD.C.を目指す。

監督・脚本:アレックス・ガーランド/出演:キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー、ソノヤ・ミズノ ほか/配給:ハピネットファントム・スタジオ/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中 ©2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

★アメリカ大統領選に興味がある方へ★

日本の衆院選が終わって、次はアメリカ大統領選(というか、衆院選は突発イベントでしたけど)。他国のこととはいえ、日本社会や経済にも大きな影響を与えるアメリカの政情のことだから、ほぼ毎日のように報道が出てますよね。その行方はさておき、大国アメリカで政治不安から内戦が起きたらどうなる? という仮定のもとに描かれた映画が公開中、というか大ヒット中。それが『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。タイムリーなのでおかわりよ。


アメリカの大統領の任期は最長2期8年というのが憲法で定められておりまして。それを大統領令で3期以上にしちゃいましょ、という暴挙に出たら、国が二分して内戦勃発、というのがこの物語の背景(それを本当にやっちゃった国がありますしね……)。ダメダメのダメですね。でも、ここまでの暴挙でなくても、そこそこのレベルの内戦は起きそうじゃない? というのが現実世界の怖いところ。


超絶怖いのは、内戦が起きるとそれまでの一般人の常識が常識じゃなくなることね。だって、二分されてるから、「あんたどっち側?」というのがものさしになっちゃうんだもん。しかも、どちらについたとしても求めるのは彼らなりの正義だったりするから厄介。そこで中立的な立場で、人道的にアリかナシかを人に乞うために報道をする戦場ジャーナリストの人たちなのね。この映画はその人たちの視点で描かれているからお見事なのです。しかもロードムービー。あらゆるエリアに暮らす市井の人々のリアクションまで描いてるってわけ。もーほんと怖い。そんじょそこらのホラーよりずっと怖い。


アメリカ大統領選の結果がどうあれ、主義主張が政治によって動かされちゃうのは違うってこと、分かっていただけるんじゃないかしら。

シビル・ウォー

戦場ジャーナリストのパイセンと後輩のお話です

シビル・ウォー

アメリカ横断ロードムービー

シビル・ウォー

これ名シーンなんだけど、トラウマ級に怖いの。覚悟して

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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