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よしひろまさみち

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名優マイケル・ケインの引退作『2度目のはなればなれ』を観て終活について考えてみる【映画レビュー】

2度目のはなればなれ

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『2度目のはなればなれ』

2度目のはなればなれ

story 退役軍人のバーナード(M・ケイン)は妻レネ(G・ジャクソン)に内緒で、老人ホームからフランスへ。高齢男性の施設逃亡はニュースになり、世界中で話題になってしまい……。

監督:オリバー・パーカー/出演:マイケル・ケイン、グレンダ・ジャクソン、ダニエル・ヴィタリス ほか/配給:東和ピクチャーズ/公開:現在、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー中 ©2023 Pathe Movies. ALL RIGHTS RESERVED.

★終活に興味がある方へ★

ご家族はもちろん、ご自身も人生のしまい方を考えている方、少なくないと思うの。かくいうあたしもそのひとり。だからこそなんだけど、名優マイケル・ケインの引退作『2度目のはなればなれ』は、ほんっと身につまされるお話で、思わずおかわりよ。


若いころは『アルフィー』(66)のプレイボーイ役、歳を重ねてからは『インセプション』(10)や『ダークナイト』(08)などクリストファー・ノーラン作品の常連だったマイケル・ケインが、この作品を引退作に選んだ理由は、観たら一発で理解よ。だって、ほんとに人生の晩秋を描いてるんだもん。夫婦で老人ホームの世話になっている退役軍人のじいさまが、ノルマンディー上陸作戦の70周年式典に参加するために施設を脱走しちゃうお話。


なんとこれ、実話ベースなの。どんなに時が経とうと忘れられない強烈な思い出をかつての仲間と共有するために、イギリスからフランスへゴー。中年までならフッ軽に行けるけど、なんせ施設のお世話になってるし、そもそも動き鈍くなってる老体。行けてよかったねー、じゃ済まないのよね。身も心も健康なうちにできることは全部こなしたくなるし、どんなに歳を重ねても外の世界とつながりを持つことは大事ってことが描かれてるの。


それをキャリア最後のマイケル・ケインが演じることによる説得力ったらもー……。「やりたいと思ったときがやりどき!」ということは、どんなお年の方でも共感できますわよ。

2度目のはなればなれ

介護施設はニュースでびっくり

2度目のはなればなれ

マイケル・ケイン、これで本当に見納めです

2度目のはなればなれ

実話ベースってのが強烈

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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