名優マイケル・ケインの引退作『2度目のはなればなれ』を観て終活について考えてみる【映画レビュー】
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『2度目のはなればなれ』
★終活に興味がある方へ★
ご家族はもちろん、ご自身も人生のしまい方を考えている方、少なくないと思うの。かくいうあたしもそのひとり。だからこそなんだけど、名優マイケル・ケインの引退作『2度目のはなればなれ』は、ほんっと身につまされるお話で、思わずおかわりよ。
若いころは『アルフィー』(66)のプレイボーイ役、歳を重ねてからは『インセプション』(10)や『ダークナイト』(08)などクリストファー・ノーラン作品の常連だったマイケル・ケインが、この作品を引退作に選んだ理由は、観たら一発で理解よ。だって、ほんとに人生の晩秋を描いてるんだもん。夫婦で老人ホームの世話になっている退役軍人のじいさまが、ノルマンディー上陸作戦の70周年式典に参加するために施設を脱走しちゃうお話。
なんとこれ、実話ベースなの。どんなに時が経とうと忘れられない強烈な思い出をかつての仲間と共有するために、イギリスからフランスへゴー。中年までならフッ軽に行けるけど、なんせ施設のお世話になってるし、そもそも動き鈍くなってる老体。行けてよかったねー、じゃ済まないのよね。身も心も健康なうちにできることは全部こなしたくなるし、どんなに歳を重ねても外の世界とつながりを持つことは大事ってことが描かれてるの。
それをキャリア最後のマイケル・ケインが演じることによる説得力ったらもー……。「やりたいと思ったときがやりどき!」ということは、どんなお年の方でも共感できますわよ。