11月15日公開映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセンが語る見どころに注目!
2000年の大ヒット名画『グラディエーター』は、続編の噂が出ては消えの二十数年を経てきた。ついに完成した『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は、前作の16年後を舞台にした歴史超大作で、前作の主人公マキシマスの元カノで、前帝コモドゥスの姉ルッシラをはじめ、数名のキャラクターが再登場する。ルッシラを演じたコニー・ニールセンは「すごく驚きの経験だった」と語る。
「二十数年も前の役を続投するなんて、映画ではめったにないこと。だけど、監督からこの話を受けた瞬間から、ルッシラの成長を演じられるのが待ちきれなかったんですよ。前作からの16年で彼女自身はもちろん、ローマも大きく変わり、狂気と混乱の中で生き抜いている女性。撮影の2年くらい前、監督から最初に声をかけてもらって、倫理的なリーダーがいなくなったローマで彼女はどうしていたのか、オープンに議論をし、キャラクター作りを始めました」
前作でのルッシラは、完璧だった父マルクス・アウレリウスを失った後で暴君化した弟コモドゥスにおびえてていた。本作の彼女はより強く、大義のためなら死を恐れない女性に成長している。
「彼女は父親から道徳を学び、民主的な国家のために尽くそうとします。だけど、彼女にはそのために動く自由はありません。なにせ彼女の周りには常に武装した警備員がたくさんいて、腐敗した政治家たちの暴政を目の当たりにしながら逃げることすらできません。彼女は民衆を一番に考えていたマキシマスと父親を失ったことで、悲しみに暮れるのではなく、彼らが貫いていた思いをなんとか実現するために生き続けている……これは日本語で言う“粋”の精神に似てると思いますよ。『SHOGUN 将軍』のようなヒットドラマがあったおかげで、このような考え方は世界中に通じるんじゃないでしょうか」
このような強い女性像に成長したのは時代の流れのおかげなのだろうか。それとも普遍的なものなのか。
「私はそれは普遍的なものだと思っています。撮影前に監督からすすめられてリサーチ用の資料を読み込んだんですが、亡命は最悪のことだと学びました。本作でも描かれている通り、死にゆく国家から逃げ出すのではなく、去らずに何かをしようとする。これがルッシラの価値観であり、私がこの役で表現したかったこと。人が力を持つ危険、その危険な権力者に対峙する勇気。これは今の社会生活においても変わりませんし、ルッシラがどんな苦境にあってもその価値観を持ち続ける心の強さは、現代人の我々には教訓となるんじゃないでしょうか」
text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2024年12月号より
WRITER
よしひろまさみち/映画ライター
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。
EDITOR
オトナミューズ編集部
37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。