“人が恐れるものは価値がある”『エマニエル夫人』が再映画化!主演ノエミ・メルランが見どころを語る
1月10日より全国ロードショー
『エマニュエル』
70年代に一斉を風靡した官能映画の数々。そのなかでも、シルビア・クリステル主演の大ヒット作『エマニエル夫人』(1974年)は、シリーズ化もされたほどの名作として知られている。まさか令和の今、それが再映画化されるとは……。『エマニュエル』は、エマニエル・アルサンの原作をベースに、現代に舞台を移した美しく妖しい物語だ。
「私は原作も映画も、エマニュエルのことはまったく知らなかった」というのは、主演を務めたノエミ・メルラン。
「つい最近まで原作を読まなかったし、映画版もまったく観ていなかった。でもこう言われたことはあった。“怖くないの?(1974年版の主演)シルビア・クリステルに何があったのか知ってる? 箱の中に閉じ込められ、業界から追い出されるのが心配じゃないの?”って。その話を聞いたとき、自分にこう言い聞かせたわ。“もし怖いと感じたら、それは正しい位置にいるということ。恐れがあるとすれば、それはリスクを冒すこと。人々が恐れるものには、探る価値がある”とね」
あれほどの話題作だったせいもあり、74年版、そして原作に対して当時の男性からの注目は凄まじかった。イコール、主演のシルビア・クリステルに何が起きたかは想像に易い。それを知らずとも、このように強く対応する彼女は、まさに現代のエマニュエルといえる。
「監督がエマニュエル役を探していることと、私をその候補にしていたと知ったのは、彼女に会う2日前のこと。脚本を読んだとき、その濃密な旅に巻き込まれたの。どこか私自身の旅のようで、内なる旅に出るような感覚ね。言ってみれば、快楽を得ることができなかった自分が、再び自身のからだとつながろうとする女性の旅だと思う。快楽の追求が義務だとは言わない。オーガズムを感じず、性欲もなく、そういうことに興味がない人もいる。でも、欲望に駆られているときは複雑なものよ。だって、男性が満足することイコール女性も満たされてるっていう、勝手な思い込みがあるから、女性の快楽はいつも二の次になる」
性的なシーンを切っても切れないこの作品。どのように取り組んだのだろう。
「ジャック・オディアール監督の『パリ13区』以来、一緒に仕事をしている振付師で、インティマシー・コーディネーターでもあるステファニー・ シェーヌが参加してる。監督はかなり早い段階で彼女に接触し、どうすればいいか着手したの。最初は快楽のないセックスをして、そこから快楽が得られるセックスをする描写を、言葉も何もない状態で伝えるのは、とても繊細な仕事だった」
text:MASAMICHI YOSHIHIRO photo : © Manuel Moutier
otona MUSE 2025年2月号より
EDITOR
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