新作を年間400本観た映画ライター・よしひろまさみちによる【2024年ベストシネマ5選】
2本目
『異人たち』
『グラディエーターII~』を観るまでは、これが最強、と思ってました。だって~、大林宣彦監督版『異人たちとの夏』のいいとこどり&より深いんだもん! まさか現代イギリスで、しかも主人公のセクシュアリティをゲイに変更して、このお話が成立するなんて思ってもみなかったですわ。原作も大林版も「分かりあえなかった肉親との二度目のお別れ」を描いているわけですが、それが中年の性的マイノリティを主人公にしただけで、こんなにもクッキリと「孤独との向き合い」と「贖罪」が浮き彫りになるなんて! 監督のおヘイ、マジ天才。ちなみにおヘイは、元編集マンだけに、映像編集がむちゃくちゃすごい。「このカット、ここで活きるの!?」の連続。おヘイ、前述の前作『グラディエーター』では編集マンとして入っていたんですよ~(なので、『グラディエーター』も観てね)。
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。