1980年代の香港黒社会の抗争を描いた『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、実は"ハイロー"ばりの青春映画!?
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ〜。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
★香港映画がお好きな方へ★
香港映画、といえばカンフー、アクション、めちゃくちゃ活気のいい広東語のセリフの応酬ですよねー。その手の映画は、ジャッキー・チェン時代からニュージェネレーション時代に移ったものの、最近は下火。なんせ英語もできる俳優や監督はハリウッドにいっちゃったもんで〜。そんななか、できちゃったんですよ。その熱気がモリモリの傑作『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が! 東京国際映画祭で上映されたときに大興奮してしまったので、またおかわりしてまいりました。ごっつぁんです!
香港が中国に返還されることが確実になって、これからどうなんの!? っていう不安となんだかよく分からない興奮と好景気に満ちた80年代後半。大陸から香港に密入国した主人公を中心に、黒社会の抗争を描いたアクション娯楽作。マジすごいのよ。世界一離着陸が難しい空港とされた九龍の空港があった時代、そのお隣には九龍城砦っていう魔窟があったのね。警察でさえ手出ししない、という無法地帯で、違法増築に次ぐ増築で、最終的にどういう建物だったかも不明。無数にあった反社組織が取り仕切っていたとされるカオスの源流でございます。そこを舞台に、LDHの『High&Low』シリーズ的なチーム男子の友情ものに、プラス、ありえないカンフーアクションで味つけしているのよ〜。九龍城砦はとっくに取り壊されているので、当然この映画で出てくるのはセットなんだけど、この再現度もすごい。とんでもなく入り組んで狭い内部を作って、その狭さを活かした超絶アクション。興奮しないわけないのよ〜。
しかも、申し上げました通り、まさかの青春映画。てっきり漆黒の闇の黒社会ものと思いきや、超爽やかに“ハイロー”っぽいのもよき。皆さんもこの興奮、体感しちゃって〜。
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WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。