スタイリスト白幡啓が2022年秋冬トレンドを指南 「匂わせるの。『この人、分かってるわね』くらいにね!」
なんとなくトラッド
「紺ブレはちょっとね、って人もいると思うのね」と、おもむろに秋冬トレンドに必要な要素を語り出したおケイ先生。「スーツとかジャケットを取り入れて楽しくするってことよ。ザ・トラッドじゃ古臭く感じる人も、なんとなく取り入れて!」と、提言されています。
ー先生、もう暑くて暑くて溶けそうですが、秋冬のトレンドについて教えていただきたい時期でございます。
白幡 啓「そうね。私がディレクションするスタイリング/はトラッドをベースに展開しているの。ちょっとだけトラッドを意識したエレガントな雰囲気のコレクションにしたの。一方でグランジ系も流行っているんだけど、あのね、個人的にはそういうグランジとかロック系ってコーディネートするのも得意だしスタッズとかも超懐かしくてわー!って思うんだけれど、今また、自分で着るかどうかは検討課題よ、大人は。流行しているからといってクラッシュデニムを履いて‥‥似合う人はいいのよ。けれど取り返しがつかないことになる人もいると思うの、似合わなさ過ぎて。だからスタッズ小物でちょっと、とかはアリだけど、やっぱりミューズ世代の大人のトレンドの基本はちょっとキレイめ、ちょっとトラッドな方向じゃないかしら」
ー具体的には何を買って着るべきでしょう?
白幡 啓「それはまず、スーツよ! なかでもうちならダブルのジャケットと少し太めのタックパンツがオススメね、ここがトラッド要素ね。
上のスーツ見て。色がもう今年らしいブラウンなのね。そこに今シーズンも人気の付け襟をきかせて。オレンジは新色よ! もうさ、私はこのところずーーーっとお仕事着ではない、遊んだスーツスタイルを提案してきたんだけれど、ようやく街でもそういうスーツスタイルの女性をよく見かけるようになってきて嬉しいの。昨日もいたのよ、地下鉄に麻のスーツ着た女のコが。嬉しくて声をかけそうになったわ。髪型とか小物まで全てがトラッドじゃなくていいのよ、いつもの自分のまま、ちょっとだけ取り入れればいいの」
ー先生、地下鉄乗るんですか(驚)! そして下のフリルのシャツドレスとナイロンパーカのスタイル、これはもうザ・白幡節ですけど、こちらはどこがトラッド‥‥?
白幡 啓「襟を見て。ボタンダウンなの! シャツドレスが。このドレスすっごい人気なのね。後ろがスリットが入って全開になるから、風とか吹いてめくれちゃうとちょっとアレかしらねって、キャミソールのフレアドレスもつけておいたから、重ねて着るんだけれど。でも襟もとは今季は、ボタンダウンなのよ!」
ーなるほどー、これがちょっとだけトラッド!
シャツのボタンダウン具合とか、
パンツのセンタープレスとか
トラッド要素を楽しんでしまうの
白幡 啓「そ。チルデンニットもまさにトラッドなアイテムでしょ。
それを今年らしい太めのパンツで、うちはせっかくだからパープルとかで色で遊んで大きめにしたから、今の季節からいっちょ着すればいいの。あのね、流行を、ちょっと知ってますよっていう感じを出すのがいいと思うの、大人は。匂わせるの。匂わせ屋よ。
紺ブレも流行しているけれど、普段からキレイめなスタイルが好きな人はいいのよ。ただザ・トラッドを着るとタイムスリップして本当に古臭くなる危険性を感じる人は、紺ブレではなくこうやってブラウンのジャケットにすればいいと思うの。そのくらいでいいの。
今の季節は羽織るものをトレンドカラーにするとか、シャツを着るなら今若いコもすごく着ているラルフローレンにするとか。どうやっただ昔っぽくならず流行のトラッドを取り入れるか? 匂わせるの。『この人、わかってるわね』くらいにね!」
Photograph:TOMOHIRO TAKESHITA Styling & Model:KEI SHIRAHATA[LOVABLE] Hair & Make-up:MIKAKO KIKUCHI[TRON] Model:LIZA