番外編【&MAYUMI】今押さえておくべき、メンズのドメスティックブランドをアザーカットで解説
モデル佐田真由美さんがクリエイターを招き、自由にディレクションしてもらう隔月連載「&MAYUMI」。今回発売された12月号では、モードなスタイリングはもちろん、メンズファッションにも造詣が深い中澤咲希さんをディレクターに迎え、日本のメンズブランドにフィーチャーした撮影になりました。
今回ディレクションをお願いした中澤さんと、どのような方向性にしていくか初めて打ち合わせした際、ふとした雑談のなかで「日本はジェンダーや年齢で着れるものが決まっているような節があるよね」「そういえば今、日本のメンズブランドがファッション界でホットトピックになっているんですよー!」という話に。せっかくだから今注目の日本のメンズブランドを、普段からメンズ服をご愛用の真由美さんに纏ってもらいたい&そもそも真由美さんが着ているだけで私も着たくなりそう、これをきっかけに日本のメンズブランドのよさが伝われば! ということで、今回の撮影がスタートしました。
とはいえ、オトナミューズではなかなか見かけることがないブランドが多かったので、今回はアザーカットを交えて着用ブランドをご紹介します。
▶︎M A S U(エムエーエスユー)
扉を飾ったのは、『M A S U(エムエーエスユー)』。花形にカッティングされた深い深紅が印象的なレザージャケットは、今回ディレクションしてくださった中澤さんが真由美さんにぜひ、と選んでくださった1着。トップスはタンクトップだったため、カッティングから見える素肌とのコントラストがなんとも素敵でした。
2017SSから『MASU(マス)』というブランド名でスタートし、2018AWに改名してリスタートを切った『M A S U(エムエーエスユー)』。“です”など丁寧語の“ます”から着想を得て名付けられたブランド名は、その丁寧なものづくりの姿勢を表しているかのよう。9月に発表された2023SSコレクションでは圧巻のショーを披露し、知名度・人気を一気に押し上げたように感じました。
デザイナーの後藤愼平さんによって現代の雰囲気にマッチするようにヴィンテージ要素が落とし込まれたアイテムは、日本のみならず海外にもファンがいるほど。今見逃せないブランドのひとつです。
▶︎UNUSED(アンユーズド)
2004年からスタートした『UNUSED(アンユーズド)』。
ブランドコンセプトには“観念的な枠を取り去り、解体し、存在の新たな形の追及提案”とあり、先入観を持たず過去の物に新たな観点で改良を加え、機能美と着心地を追求しているそう。2016年SSコレクションからは、メンズ・ウィメンズ共にデザインを統一し、サイズも00から4まで幅広いサイズ展開のため、ユニセックスで着用できるようになっているそう。
いち早くジェンダー表記をなくした『UNUSED』。今回真由美さん着用のカーディガンもメンズが着てもジャストサイズになるくらいのサイズ感だったのですが、モヘアの柔らかい雰囲気がニュートラルに中和。「真由美さんの私物か」と思うほどマッチしていて、私も欲しくなりました。
▶︎NICENESS(ナイスネス)
イイものはイイ=Just good is goodをコンセプトに2018年にスタートした『NICENESS(ナイスネス)』。国内外でものづくりの経験を積んできたデザイナーならではの素材選びがポイントで、こだわりの素材を使用したアイテム展開にファンが多く、すでに人気を集めているブランド。
国内外でものづくりを経験してきたデザイナーならではのファブリック選びに定評があり、今回登場したパンツは、旅先で出合ったタペストリーがインスピレーション源だそう。
武骨風に見えて繊細なファブリック使いは、手に取って、着てみて分かるもの。オンラインショッピングが台頭しつつある今、『NICENESS』はぜひ実際に触れていただきたいアイテムばかりです。
今回この連載を担当するにあたりミューズ世代の関係者の話を伺っていると、日本のメンズブランドはカルチャー的に原宿系を想起させるためか、若者たちやトレンドセッターたちが着るもの、と思われがちのようでした。ですがコロナ禍を経て、一層自己表現の場が自由になってきている昨今。人の目や流行りを気にして、自分が本当に着たいと思えるものを着ないのはナンセンスですよね。ジェンダーや年齢に関係なく、着たいと思うものを着る。そんなスタイルを貫く姿勢が今、改めて素敵に感じるなと実感しました。
otona MUSE S