「密かな楽しみ(夜のお散歩)をするときにもドレスアップしようよ」
モノクロームな夜を歩く、風間ゆみえさんをシューティング。
IN THE MOOD FOR DRESS UP
Walkin' After Midnight
@Marunouchi 27 October, 2022
10:22pm
雨が降らなくたって、会いに来てよ。
まもなく頰を撫でる空気が冷たくなってくるのだろう。
トワイライトに吹きはじめたさらさらと肌を撫でる
秋風に包まれて、ライチの香りがするのど飴を
ころがしながら歩いた夜。 生温い南風がノースリーブの腕に
からみついていた夜も歩いた。
ついこの間のことのようだけれど、
もう 1 カ月も前の出来事なのね。
私は人の少ない夜に散歩をするのが好き。
それは、色をなくした夜のなかで触れることができる
四季の表情がとても静かでロマンティックだから。
春は買ったばかりのスプリングコートを羽織って。
梅雨にはお気に入りの白い傘をさして、ときには大きな
ビニール傘にパチパチと音を立てて落ちる雨粒を眺めたり。
おしゃれの秋にはクローゼットに眠ったドレスやレザーの
白い花コサージュで、ドレスアップした。
頰を赤くするほど冷たい凜とした冬には、
恋人と腕を組んで歩くのが賢明。
秋、ドレスアップは誰のために?
誰のためでもいいのよ、
おしゃれして歩いたら、私もご機嫌だし、夜道だって、
街灯だって、都会に隠れた夜空だって嬉しいはず。
ビルの窓灯りは宝石みたいに煌めくし、
行き交う車のライトは光の道を伸ばして、
闇夜に美しくコントラストを描いている。
この夜も夜景に負けない煌きを放つ
DELVAUXのバッグを連れて出かけた。
10月にまたひとつ歳を重ねた私が、私に伝えたいこと。
密かな楽しみ(夜のお散歩)をするときにも
ドレスアップしようよ。
いい大人の女なら、いつだって装い上手でいたいもの。
ところで、デートも楽しみたいのに、雨が好きな私の、
雨の日の恋人は、本当に雨が降らないと会わない気かしら?
梅雨に出会うべきだったわね。
なんていじわるな気分と、会いたいと募る愛おしさを味わう
秋のおわり。
styling:YUMIE KAZAMA photograph:AKINORI ITO [aosora] hair & make-up:NOBUYUKI SHIOZAWA [ mod’s hair]