「自分を好きでいますか?」未来の自分自身へと紡いだ、ゆみえさんの手紙とは?【風間ゆみえ連載】
IN THE MOOD
for the years to come
年明けに思うところがあり、少し先の未来の自分自身へ書いたというゆみえさんの手紙 。
数年後の私へ
目の前には普段自分では選ばない色の
チューリップがたっぷりと、
ブルーの蝶が飛ぶアスティエの花器に溢れています。
元気にしていますか?
今は西暦2023年を迎えたばかりの1月です。
昨年末に他界した父のことや、
身近に起きたいくつかの出来事が、
私をどこか静かな心持ちにさせています。
引っ越したばかりの家の窓辺は、風に揺れる
木々の葉が白いカーテンに影を映して綺麗です。
揺れ動くものを眺めているのが好きなのに、
今は、少し眩しいその朝の光が綺麗だなと思うと、
こころの溝みたいな場所に違和感を覚えます。
いくつか年を重ねた私は、そこはかとなく穏やかな
雰囲気が漂う、素敵な女性になれているでしょうか?
自分を好きでいますか?
私は常にポジティブな思考に背中を押されるようにして
進んでいます。それはきっとよいことなのに、
今、嫌になってしまっている自分もいます。
たまには立ち止まって落ち込む時間も必要だったのでは
ないかと。私は......、急ぎ足で生きてきた中で
気付けないでいたことがあまりにも多く、
それがいつしか大きなものにふくらんでいたということに、
今になって気付いたのです。
以前読んだ本の中で誰かが言っていた、
「成熟するには遠回りをしなければならない」。
今の私はその真っ只中にいるのだと思います。
誰かのひと言に大きく心を揺さぶられること。
この時間が作り出す明日の私。
いつになったら大人になるのかと時折
考えているけれど、そんな考えが不粋に思えます。
でも今は、自分という存在の内側と
初めて対峙している大切な時なのです。
人はどこかで自分を変えてくれる、
気付かなかった自分を引き出してくれる、
そんな人に会ってまた新しい自分に出会う。
私はいつまでも未完成なのでしょう。
でも、それがこの先の私の魅力でもある
と思えるようになっていたら嬉しいです。
photographer:ad.TAM