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「私たちは今がまさに“ing”なんだよ」100%現場至上主義だった私たちが時を経て今、思うことは?【スタイリスト白幡啓連載】

「私たちは今がまさに“ing”なんだよ」100%現場至上主義だった私たちが時を経て今、思うことは?【スタイリスト白幡啓連載】

二十数年ぶりに仕事で一緒になったという、おケイ先生をはじめとする仲よし4人。苦楽を共にしながらファッション誌の一時代を作り上げてきた戦友たちが、さまざまな人生経験を経て今思うこととは? 旧知の間柄だからこそ話せる貴重なガールズトークは必読です!

言葉がなくても分かり合える
特殊な村の住人たち

「私たちは今がまさに“ing”なんだよ」100%現場至上主義だった私たちが時を経て今、思うことは?【スタイリスト白幡啓連載】

写真左から:蜷川実花/写真家、映画監督。写真や映画を中心に、映像や空間インスタレーションなども数多く手がける。佐田真由美/モデル、女優。ジュエリーブランド、エナソルーナやエシカルブランド、ニーミーのディレクションも務める。早坂香須子/雑誌や広告を中心に活躍するメイクアップアーティスト。元看護師という経歴を持ち、インナービューティや植物学などにも造詣が深い。

━━━みなさんがお仕事で一緒になるのはいつ以来ですか?

白幡啓さん(以下K):プライベートではよく会うけど、揃って仕事をするのは超久々! 真由美の連載で集合できるって聞いてそのまま私の連載にも来てもらっちゃった。

蜷川実花さん(以下N):私、おケイちゃんの連載を読むためにオトナミューズを買うぐらい好き♡

K:嬉しい! ありがとう。今日は久しぶりにこうして会えたから、昔を思い出しながら仕事のこととか話してみたいなって。

N:そうだねぇ。人生いろいろあると思うんだけど、みんな仕事場に持ち込まないのがすごいというか、大波小波乗り越えていい歳の取り方してるなって今回改めて思った。

佐田真由美さん(以下M):みんな踏ん張ってこの業界に長くいるからこそ今日があるんだよね。

N:このタイミングでこのメンバーが集結できたことはいいなあって。圧倒的なホーム感、安定感、安心感がある。

早坂香須子さん(以下H):本当にそう。私、今まで1言って10分かり合える人たちとばかり仕事してたんだなって。それがすごいことなんだって一般社会に出てようやく気付いた。

全員:分かる〜!

N:共通言語がある人たちとしか集っていなかったから、社会に出たとき、私こんなに隅っこの村に住んでたの? ってびっくりしたよね。こんだけ言語化されず、信頼とセンスだけで成立している村は他にないしね。

K:ほんと、特殊村(笑)。

M:人口の0・00何%とかしかいなさそう(笑)。

N:その村生まれ、その村育ち、そりゃ一般社会に出たら衝撃度も高いよね(笑)。みんな今日みたいな撮影以外にもブランド業とかいろいろやったりしてるじゃない? どんな風に軸足を置いてやってる?

K:私の場合、大手アパレル会社でとにかく一般社会を学んでる。これまでは何でも当事者に直接話をつける習慣があったんだけど、今は社会に倣って、順を追えるようになった。

M:大人の第一歩だね。“NO TOP DOWN”。

全:ウケる(笑)。

M:でも本当にいろいろあるよね。悔しいこと100万個ぐらい。だからこそ頑張ろうって思える。終わりがないの。

佐田真由美、早坂香須子

K:撮影の仕事ってさ、“こんな風にしたい&してくれる”って落としどころをイメージしてから臨むでしょ? そこが一致しないと仕事にならないっていうか。

H:分かる! だからブランドを始めると、自分がどうしたいのか、脳みそを開示する機会が増える。

K:そもそも言語化するのが下手だから、精神的に余裕がないときは本当に辛かったよ。

H:ブランドを始めてからのほうが、改めて撮影が楽しいと感じる。

M:ほら、私たちの村って、言葉いらないじゃん!

K:そうなの~! 実花ちゃんの仕事の軸足の置き方は?

N:私は基本スーパー合理主義者で、すごく一石二鳥が好き。

K:でもさ、そうは言ってもめちゃアーティスティックだよね?

N:それもあるけど、いかに手が少なく同じクオリティができるかばかり考えてる。お酒も精度が落ちるのが嫌で飲まないの。

K:徹底的だな~、すごい!

N:でもね、詰め込むとか覚えるとか全然できないの。10年住んだ家の郵便番号は結局ずーっと覚えられなかった(笑)。

M:みんなそれぞれバランスだね。

K:偏りがち(笑)。実花ちゃんは小さいころからそう?

N:中学で数学や理科は私の人生に必要ないって思ってたからマジ0点(笑)。自分のやりたいことのみ努力!

M:今の日本の教育はさ、全部万遍なくできて“大変よくできました”的でさ、これは0点でもこっちは100点なら素晴らしい! ってなればいいのになって思う。

蜷川実花

N:まゆみん自身は実はデコボコなグラフで生きてきたでしょ? 今は立派にお嬢さんを育ててるじゃん。ちゃんとしなきゃっていう枠組みにいたりする?

M:今ね、自分が子どもだったときにいっぱいあった夢を叶えてるところだから、めちゃくちゃ子育てを楽しんでるの。

K:真由美は天真爛漫なママを気にかけて育ったしね。

M:私のお母さん像の理想は、包み込んでくれて、好きなことをやらせてくれて、愛してくれること。それが根本にあるの。

H:まゆみんは若いころから包容力あったよね。

M:今私がご飯作るのを頑張ってるのは“おふくろの味”っていうのを子どもが大きくなったときに思い出してくれたらなって。

N:うん、なんかそれっていいね。なんかさ、結局みんないびつなグラフで生きてるじゃない。お互いに思いやりながらさ。

━━━最後に、実は今回の座談会をするきっかけにもなったんですけど、話題になったドラマ『ブラッシュアップライフ』になぞらえて、みなさんは生まれ変わったらまた自分になりたいと思いますか?

K:この人生、また始まるなら、もう少し上手くやれると思うから私はやってみようと思う。

M:私も絶対やる!

N:私は、もう一回生まれ変わってもまた自分でいたいと思える人生を歩もうと決めてる。

H:アップルの株買いたい!

全員:(爆笑)!

H:私はやり直すのは来世じゃなくて今世なんじゃないかなと思ってる。

K:私たちの“ブラッシュアップライフ”はさ、今まさに進行中なんだね。

スタイリスト白幡啓好評連載・That is /[thàt ìs]
スタイリストでstyling/のディレクター白幡啓が独自の視点でファッションにまつわる気になる「アレ」を取り上げる連載。あだ名はおケイ先生。ちなみに「アレ」とは白幡さんの口ぐせ。

前回の「THAT IS」はこちら白幡 啓さんInstagram

photograph:SHUNSUKE SUDO[LUCKY STAR] / styling:KEI SHIRAHATA[LOVABLE] / hair:DAI MICHISHITA / make-up:KAZUKO HAYASAKA / model:MAYUMI SADA

otona MUSE 2023年6月号より

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