「服選びの基準は、いかにインテリア空間にマッチするか」エグゼクティブのお買い物考【加藤順子】
「欲しい物は、自ら働いて得る」を体現しているエグゼクティブ6人に、自分のスタイルを形作るうえで欠かせないものや、それらとの出会いをインタビュー。行動力と好奇心に満ちた彼女たちのお買い物考から、パワフルな秘訣を伺い知ることができるはず! 二人目は歯科医師兼カトーコーポレーション クリエイティブディレクター加藤順子さん。
服選びの基準は、いかにインテリア空間にマッチするかが重要
「洋服は以前から好きなのですが、仕事を通して“それが全てじゃない”と感じるようになって。じゃあ何が私の中で一番なのだろうと考えたときに、部屋だったんです。住んでいる部屋だったり、自分がいたい環境だったり、まずそこがしっかり整っているのが大前提で、それに見合う買い物がその人を一番輝かせる、と思っています。
素敵なものを買っても、身の丈に合わないものだったら自分が作った空間にも合わないし、ただ“もの”を追いかけているだけみたいに見えてしまうのが嫌で。インテリア空間を少しずつ思うように整えられるようになり、ようやく洋服に対してもこだわりを持てるようになりました。ただ、その服を着た自分が、その空間にマッチするかが重要なので、モノトーンや装飾の少ないものが多くを占めています。欲しいものはたくさんありますが、まだ何も成し遂げていないので、まずは事業をうまく軌道に乗せてから、と自分に言い聞かせています」
―インテリアに興味を持ち始めたのはいつですか?
「高校生くらいのころから、当時流行っていたインテリアブログを愛読していました。その当時、お年玉を崩してカルテルのルイゴーストを購入した際には、やっぱりインテリアっていいなと思ったのを覚えています」
―最近の購入品で、特に気に入っているものは?
「アルテックのスクリーン100です。私の人生を変えたと言っても過言ではありません。これを買ってから、やはりデザイナーズ家具って素晴らしいなと再認識しました。30万円のバッグを買うよりも、私にとっては価値のある買い物でした」
―何かを選ぶときに気をつけていることは?
「自分の作った空間に、それが合うか合わないか、というのは絶対条件です。ときめくものがあっても、空間に合わないものだったら絶対に買わないようにしています。今はJapandiがトレンドなので、障子やイサムノグチなど、日本テイストのアイテムを積極的に取り入れています」
―ご自宅がすごくよい香りだったのですが、こだわりはありますか?
「インテリア同様、香りも日常を過ごすうえで必要不可欠なものではないですよね。でも、あったほうが生活が豊かになる。香りは近日一般販売を控えている、私がプロデュースしたディフューザーを使用しています。コロンとしたフォルムと瑞々しい香りがこの空間にマッチしていて気に入っています」
―加藤さんと言えば黒いお洋服、というイメージがあります。
「ここ数年で、“こんなファブリックやカッティング方法があるんだ”と学ぶことが増えました。同じ黒でもテクスチャーが異なるだけで、自分の作った空間にしっくりくる感覚が楽しくて、今は黒いドレスを集めがちなのかもしれません」
次回は、mgb skin ファウンダー&クリエイティブディレクター・メグベイビーさんの「お買い物考」をご紹介します。お楽しみに!
photograph:KAORI IMAKIIRE
otona MUSE 2023年7月号より