【TODAYFULディレクター吉田怜香さんインタビュー】 支持され続けるTODAYFULらしさの生まれる場所
11月にブランド設立10周年を迎えたTODAYFUL。 都会的な洗練さと力の抜けたラフさを武器とするTODAYFULの服づくりは、決して背伸びしすぎず、だけどやっぱりお洒落。そのバランスにクローゼットにあるとつい手を伸ばしてしまう、我々の毎日の強い味方でもあります。そんなTODAYFULのセンスに迫るべく、ディレクターの吉田怜香さんにお話をお伺いしてきました。
手にする人それぞれの日常に馴染む服をつくりたい
-まずは10周年おめでとうございます。ひとつのブランドを10年間続けてきて、変化したことや新しく見えた景色はなにかありましたか?
ね、なんでしょう(笑)。自分はこういう風に大きくしたい! って夢はあんまりなくて。手の届く範囲で、内容をより濃くしていきたいなっていう想いでやってきました。 だから、店舗数をたくさん増やしたいとかもあまりないんです。ただ、服づくりのクオリティあげて、お店の接客とクオリティあげて……みたいなことを日々ちょっとずつ更新してきた感覚。気づいたら10年経ってたね、みたいな。続けられてよかったねっていう気持ちの方が大きいかもしれません。
-TODAYFULの洋服って、流行に敏感というよりは、シンプルで使いやすいけれどちゃんとそこにTODAYFULらしいセンスがある。そういうちょっとした差で生まれるバランス感がさすがだなと思います。服づくりではどんなところを意識されていますか?
シンプルでもどこかお洒落に見える、みたいなところは割と意識していますね。ファッショナブルで奇抜な服装をしたいというよりも、どちらかというと買ってくれたお客さんそれぞれに日常があって、普通の毎日があるから、その日常に馴染む服をつくりたいなって思っていて。だからこそ、シンプルさは変わらず、センスよく見える服づくりっていうのは大切にしています。それって、袖の長さとか、細かい縫製のステッチの種類とか、裏地の始末の仕方とか。案外小さな部分だったりするんです。
-それこそ我々ミューズ世代になると、流行りとの付き合い方が難しいなと思うこともあったり。流行や今っぽさは、どう取り入れていこうと思っていますか?
シンプルな日常着のなかにも、今っぽいアクセントを入れたいなとは思っています。流行りとかはそんなに意識してない方だと思うんですけど、かと言ってずっと変わらなかったら、それはそれで古くさくなってるだろうから。適度に取り入れていきたいですよね。
-洋服を作る上で、年齢とかターゲットはあんまり意識していないのでしょうか?
ないかもしれないです。私はどちらかというと、自分が着たい服をコンセプトに作っていて。それこそ10年前の26歳のころからなので、 ターゲットに合わせて変わらないものを作っているというよりも、ディレクターとともに少しずつ服づくりも成長してきたブランドなのかなと。
空間や場所のイメージから引き出す
TODAYFULらしさ
-ひとつの人物像を掲げて目指していくよりも、そのときどきに感じたものを表現されてきた感覚なのでしょうか?
洋服を作るときは 、ピンポイントに人物像をイメージするより割と空間からイメージして作るようにしています。こういう空間が好き、こういうムードが好き、そこにこんな家具が置いてあって、その場所に合う服ってなんだろう、そこにいる女の人ってどんなかんじだろうみたいな。なので、人物像というよりは外側からイメージを固めていくタイプかもしれません。
-TODAYFULというブランドと、販売しているLife's というショップがありますが、それもそういった思いから?
もともとセレクトショップの販売員をしていたので、TODAYFULだけのお店をつくるイメージがなくて。そのころからショップはまた別。服だけじゃなくて、いろいろなものを取り扱いたいなっていう気持ちがあったから、立ち上げるときにTODAYFULという服のブランドと、Life's というショップの両方でスタートしました。お店ではライフスタイルまわりの雑貨や器とか、自分がいいなって思うものを柔軟にお客さんにもシェアしたいっていう気持ちでやっています。 本当に服に限らずこのブランドやお店をきっかけになにかいい出会いがあればいいなと思っているんです。可愛いって思ったものをみんなにもシェアしたいなって。
-最近は、アーティストやさまざまなクリエイターとのコラボも行っています。新しく関わる人たちから得た刺激はありましたか?
私、保守的なタイプなんですよ。だけどここ数年、いろいろな声を掛けてもらったり、こういうのやってみたら?っていう提案が社内や社外からも出てきて。実際にやってみたらすごく勉強になるし、喜んでくれるお客様が多くいるのを見て、あ、こういうのも喜んでもらえるんだって。それだったらいろいろやってみるのも楽しいなと思うようになりました。最初は後ろ向きだったコラボレーションも、今はブランドにとって新しい発見やいいきっかけなどさまざまな刺激を頂いてます。ファッションだけに捉われず、以前より広い視野を持って楽しめています。その点は、10年間経ってここ数年で自分の中で新しく芽生えた部分かもしれません。今後も引き続き、お客さんや友人やチームの日常に彩りを与え愛されるTODAYFULを発信していきたいです。
10TH ANNIVERSARY installation
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Profile_吉田怜香(よしだれいか)
ファッションブランド「TODAYFUL」デザイナー、ライフスタイルショップ「Life’s」のディレクター。今年11月に立ち上げから10周年を迎えた。自身のオンラインコミュニティサロン「Ours.」では、ファッションだけでなく、メイクやライフスタイルなどの情報を発信し、多くの女性から支持を集める。