「ずっとルーキーの気持ちです」【KEITAMARUYAMA 30th Anniversary×二階堂ふみクロストーク】
——今回、過去のアーカイヴを交えて、ケイタマルヤマのタイムレスな魅力が浮き彫りになる撮影でしたが。
K:「今回みたいなタイミングで、昔のアーカイヴを引っ張り出してスタイリングしてもらって、ふみちゃんみたいな人が着てくれると、もう全く新しいモノになる。やっぱりファッションってそうあるべき。ときを経て楽しめるものだし、すごくパーソナルなものだと僕は思っていて。それを再確認できた気がします」
F:「すごいですよね。大事に作られているお洋服だから、長い年月を経ても、何ていうか、ちゃんと“生きてる”。今って、モノが軽視され過ぎていて、何でも変わりがきくっていう思考になり過ぎている気がして。現代のファッションの、そういう資本主義的な側面は苦手なんです。丁寧に作られたものや、作り手の方の思いが感じられるものはずっと“生きてる”ものだと思うし、生もの、なんですよね。鮮度がいい状態でいつまでも存在する」
K:「そのためにはやっぱりケアも愛情も必要だし、ね。たくさんモノを作る時代はとうに終わっているから、やっぱり丁寧に作られたものが愛されて残るんだと思うし、そういうものはまた新しく生まれるべきだとも思う」
F:「はい。そうあってほしいと思います」
K:「僕、デビューして最初のインタビューのとき、28歳の終わりくらいかな。“捨てられない服を作りたい”って話していたんです。日本の伝統文化のひとつでもある着物って、おばあちゃんからお母さん、そして娘、みたいに代々渡っていくじゃないですか。そういうモノ作りをしたいって、生意気にも答えていた(笑)」
F:「素敵なエピソード……」
K:「ありがとう(照)。でね、30年ブランドをやっていると、その成果みたいなものをリアルに体感できるシーンに直面するんですよ。例えば、セカンドユース。うちの若いコとかが、メルカリで見つけました! って昔のケイタマルヤマを着ていたり。古着屋さんをのぞいたら『わ、ケイタマルヤマ売ってるじゃん! 上がる〜』なんてことも多々ある(笑)。そういうことが、丁寧にものを作ってきたご褒美なのかなと感じています(しみじみ)。僕、もともと自分のことクリエイティブだと思っていなくて。何ていうか、素直にキレイだなと思ったり、普通にいいなと思えるモノを作ってきたタイプで。実際そこがコンプレックスでもあったので、何だかなおさら、じんとしちゃいますね」
Profile_にかいどう・ふみ/1994年生まれ、沖縄県出身。映画『ガマの油』(2009年)でスクリーンデビュー。その後も、映画『ヒミズ』(2012年)、『リバーズ・エッジ』(2018年)、『翔んで埼玉』(2019年)、『月』(2023年)、ドラマ「エール」(2020年)、「EyeLoveYou」(2023年)等に出演し、写真家としても活動。2024年2月27日より配信されているハリウッド制作ドラマ『SHOGUN 将軍』にメインキャストの一人として出演している。
Profile_まるやま・けいた/1965年生まれ、東京都出身。ファッションデザイナー。文化服装学院を卒業後、日本のアパレル企業で企画デザイナーを務め、独立。1994年に自身のブランド「ケイタマルヤマ」で東京コレクションデビュー、1997年にパリコレデビューを果たす。ミュージシャンやタレントのステージ衣装を手掛ける他、近年はJALの制服プロデュースなど活躍の場は多岐に渡る。
photograph:SAKI OMI[io] styling:YOKO MIYAKE
hair & make-up:AIKO TOKASHIKI model:FUMI NIKAIDO
interview & text:NAO MANITA[LIKECOME]
otona MUSE 2024年11月号より