LIFESTYLE

フリーアナウンサー 小山瑶の
海外生活 in Germany
Epi.2「ドイツサッカーの魅力って?」

ドイツ・フランクフルト在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサー、そしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度からお伝えします。第2回目は、ドイツサッカーについてお届け。

フランクフルトのサッカーチーム
アイントラハト・フランクフルトが歴史的快挙!

欧州のサッカークラブを対象とした大きな大会「UEFA Europe League 2022」で、私の住むフランクフルトのサッカーチーム「アイントラハト」が、42年ぶりに優勝しました! 長谷部誠選手や鎌田大地選手といった日本人選手が所属していることもあって、日本のメディアにも大きく取り上げられていましたね。 現地は言葉では伝え切れないほどの熱気と熱量に包まれ、先週の試合にも関わらず、今でもユニフォームを着ているファンを街中で見かけるほど。それだけアイントラハトの優勝は市民に多くの感動を与えてくれました。この歴史的瞬間を現地で感じられたというのが、いまだに信じられません。

優勝の翌日の地元紙、ビルドの一面。記念に購入しました。

試合がある時は、必ずユニフォームとマフラーを着用。オリジナルグッズの種類もとにかく豊富。

試合はスペイン・セビージャでの開催でしたが、街中のレストランでパブリックビューイングが行われ、その後も優勝の余韻に浸る人々で街は明け方まで大騒ぎでした。私も優勝が決まった瞬間、知らない人たちとハイタッチばかりしていました。こういうサッカー特有の空気感が本当に大好きです。

路上に出されたテレビの前にたくさんの人が集まり、道を塞ぐかのように観戦。写真は優勝する1分前のPK戦での様子。

選手たちが凱旋してきた決勝翌日には、飛行機のタラップからパレードの車が待ち構えていて、なんと滑走路からパレードがスタート。最終目的地である旧市街のレーマー広場に到着するまでは大雨でしたが、直前になって嘘のように青空が広がり、地元メディアは“フランクフルトの奇跡”と報じていました。 選手たちが市庁舎の上階に登った瞬間、市民のボルテージは最高潮に達し、赤い発煙筒や花火が上がって煙で何も見えない状態になるほどの活気でした。自宅で中継を見ていたわたしも、街中の人々がユニフォームを着てチームのアンセムを歌い祝杯をあげる姿には圧倒されました。

祝賀パレードの特別番組の様子。20万人以上が集まり、街全体が熱気に包まれていました。

ドイツサッカーに惹かれる理由。
圧倒的熱量×環境の充実

ドイツの人々がどれだけサッカーに対して熱狂的か伝わったかと思いますが、なぜそこまで? と思った方が多いのではないでしょうか。 私も疑問に思って調べてみたところ、ドイツのサッカー競技人口は世界一を誇り、2021年時点での登録会員数は、日本に比べて約9倍の706万人超えとなっています。クラブチーム数も多いことから、毎週末いたる所で試合が行われていて、サッカーが身近な存在なのかもしれません。

ほとんどの観客が入場前からビール瓶を片手にスタジアムに向かい、試合中もビールを楽しみながら観戦しています。

さらに試合のチケット価格が非常に安く、もっとも安いもので15ユーロと誰でも簡単に試合観戦を楽しむことができることも理由の1つにあると思います。また、ビール大国であるドイツでは、観戦中の飲酒も楽しみのひとつ。観戦中のビールって、なんでこんなに美味しいのでしょうか?

ビールカップはデポジット制になっていて、飲み終わった後に売り場に返すと2ユーロ返金されます。ドイツでも有力なビールメーカー「クロムバッハ」は、アイントラハトのメインスポンサー。

観戦チケットがお手頃なのもドイツサッカーの良い点でもありますが、チケットを購入すると地域の公共交通機関が乗り放題になる特典が付いてきます。試合の日は、朝から終電までバスや路面電車も乗り放題。そう考えると、チケット1枚につき安いもので15ユーロ程度なので、手頃な価格でトップリーグの試合が見られます。さらにアプリでチケットをダウンロードすることができるので、ペーパーレスでの入場が可能。 こうした環境やファンへの配慮だけでなく、試合の日には臨時列車を何本も出すなど、街をあげてサッカーの人気を後押ししているように感じました。

左:ブンデスリーガのチケット。RMV(ヘッセン州の公共交通機関)とのコンビチケットになっています。 右:試合期間中は、地下鉄もトラムも利用し放題。

入国して間もないですが、すでにドイツサッカークラブ、アイントラハトに魅了されています。来シーズンはチャンピオンズリーグにも出場予定なので、さらなる盛り上がりが期待できます。街のサッカークラブ、アイントラハトの躍進を陰ながらサポートしていきたいと思います! 読者の方がこの記事をきっかけに、少しでもドイツサッカーに興味を持ってくれると嬉しいです。 ドイツの魅力はこれだけではない! まだまだ書き切れないことがたくさんあるので、次回もお楽しみに。Epi.3は、ドイツでの私生活を中心にお伝えしたいと思います。 Danke!

Profile
小山瑶(こやまはるか) 山形県のテレビ局で4年間アナウンサーとして勤務し、今年4月からフリーアナウンサーに転身。ドイツ・フランクフルトで勤務するパートナーに帯同。暮らしぶりをSNSで投稿している。

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