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お酒に強い人のルーツは縄文人!? 最新の研究で分かった「日本人の起源」の新常識

コラム『酒に強い縄文人、酒に弱い弥生人』

飲み会シーズンなど、時には酒の強さが話題となることもあるだろう。酒豪だったり、下戸だったりする背景には縄文系・弥生系につながる遺伝子がかかわっているという。酒を飲むと、アルコール脱水素酵素(ADH)によってアルコールはアセトアルデヒドに分解される。このアセトアルデヒドこそが「悪酔いの原因物質」で、体内にたまると酒に酔う、つまり顔が赤くなったり気分が悪くなったりする。そのアセトアルデヒドを無害な酢酸と水に分解する酵素が、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH1とALDH2)。

 

酒に強いかどうかにはこのALDH(とくにALDH2)の働きが鍵となる。ALDH2をつくる遺伝子には、正常に作用するN型と分解能力のないD型とがある。この遺伝子は両親からひとつずつ受け継がれ、人はみなNN型(分解能力の高い、酒豪タイプ)、ND型、DD型(分解能力のない、下戸タイプ)に分かれる。人類にはもともとN型しかいなかったとされる。そこに突然変異でD型が誕生した(2万年より前にモンゴロイド人種のなかで起こったという)。型の分布を調べると、D型は中国南部を中心とした極東アジアに多く、ヨーロッパやアフリカにはほとんどいない。欧米に比べ、日本には酒が弱い人が多いことが思い起こされる。

 

なお、日本人はNN型が56パーセント、ND型が38パーセント、DD型が4パーセントいるといわれる。さらに国内県別で分布をみると、地域的な偏りがあり、D型の分布は水田稲作の源郷と重なる。この変異系遺伝子を日本にもたらしたのは、渡来系弥生人ではないかと推測できる。縄文系はN型で酒に強い、弥生系はD型で酒に弱いと考えられるのである。また、そもそも縄文時代に酒はなかったとも長い間いわれてきたが、近年、発掘や研究の成果により、くつがえされつつある。たとえば、底にヤマブドウの種が残る有孔鍔付(ゆうこうつばつき)土器(口縁の下の鍔に小さな孔が開いた土器)。その孔は密閉や発酵のガス抜きに使われたとも考えられている(諸説あり)。また、種子の搾りかすや、大量のニワトコの種子と果実だけの層や塊の出土もある。実を収穫して乾燥させた後、決まった配合で煮出して発酵させ酒をつくったのだろうか。ただ、縄文人の飲酒は日常的というより、祭祀など特別なときだけに限られていたようだ。

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