犬の散歩で年収1500万円!? アメリカ・シカゴで体験した「ドッグウォーカー」とペット事情
人気の職業「ドッグウォーカー」急増の背景にあるもの
コロナ禍に全米で起きたペットブーム。米国動物虐待防止協会(ASPCA)によると、パンデミック中に2300万以上もの世帯(全米の5世帯に1世帯)が、新たに犬や猫を飼い始めたそうです。ロックダウンやリモートワークの孤独を癒やしてくれる存在として、多くの家庭がペットを迎えたものの、次第にオフィスに戻りつつある今、「その子たちを日中どうするのか?」「散歩に連れて行く時間が取れなくて困った」という課題が浮かび上がってきているのです。
「New York Post」(2024年10月15日)によると、その課題への解決策として、ドッグウォーカーやペットシッターの需要が爆発的に高まっているというのです。

犬の散歩やペットケアをマッチングするアメリカの大手サービス「ROVER」では、2024年の7~9月の利用率は前年の同じ時期に比べて25%も上昇したとのこと。多くの人が「自分の代わりに犬をケアしてくれる存在」を求めているということがわかります。
記事によると、1回のお散歩料金は10ドルから250ドル(1円=150円換算で約1500円から3万7500円)と、かなりの価格幅があるようですが、さすがに4万円近いお散歩がどんな内容なのかは想像もつきません……!! さらに気になって、「ドッグウォーカーの収入はどのくらいになるのだろう?」と調べたら、驚きの記事を発見。
「The New York Times」(2023年1月22日)の記事によると、年間10万ドル(約1500万円)以上を稼いだベテランドッグウォーカーもいるそうなのです!! 価値のあることにはしっかりと対価を支払うアメリカ。それだけペットケアに対する需要が、特に都市部を中心に高まっているのだと思います。
私自身も、アメリカ第3の都市シカゴで暮らしていたころ、友人から何度もドッグウォーカーを頼まれたことがありました。例えば、共働きしている友人夫婦から「平日は仕事で忙しくてなかなかお散歩に行ける時間がないので代わりにお願い!」というケースがほとんどでしたが、中には「極寒の冬の間だけ、近所に住む親戚のおばあちゃんの代わりに散歩に行ってほしい! 」という場合もありました。
愛犬家の私としては「嬉しい! ぜひお散歩させて!」の二つ返事でしたが、まず驚いたのは、ドッグウォーカーとして頼まれると、普通に家の鍵を渡されること。家主不在の中、その鍵を使って家に入り、犬のリードやおやつ、トイレグッズを準備して30分ほどお散歩へ。帰宅後は足を拭いてお水を替えて、また誰にも会わずにそっと家を出る……。最初は「本当にこれでいいのかな? 勝手に家にあがって、申し訳ない気が……」と戸惑いましたが、そんな流れがごく自然に行われるのです。私の場合は、30分ほどのお散歩で30ドル前後(約4500円)の謝礼をいただいたのですが、冷静に考えればなかなかのお値段。大好きなワンちゃんとお散歩ができて、おまけにお金までいただけるなんて、それはもう、ご褒美のような時間でした。
text:WAKANA SHIBUSA