「まず自分の支出状況を把握して」【40代からのお金】投資家・高沢健太さんが教える投資への第一歩

お金の話って、なんとなくタブーとされる風潮がありますよね。親しい友人ともお金の話は敬遠してしまったり、お給料の額ですらパートナーにも明らかにしないなんていうご家庭も、少なくないのではないでしょうか?
そこでオトナミューズウェブで連載している「こども食堂レインボー」でおかねワークショップを開催されていた、投資家の高沢健太さんを直撃! 40代からの「お金」についてもっと明るくポジティブに、もっと選択肢が広がるよという視点で講演活動や講座を開いていらっしゃる、高沢さんにお話を伺ってきました。
高沢健太さん profile_
1976年6月25日生まれ、AB型。埼玉県春日部市出身。個人投資家およびファイナンシャルプランナー。多額の借金を返済していくなかで労働収入の限界を感じ、未経験、40歳で株式投資をはじめる。「シンプル」を追求し編み出した独自の手法は、「たかざわ式」と銘打たれ、経験・知識を問わない、再現性が高い投資手法として注目される。周囲からの評価に背中を押され、2018年にスクール「おかね塾」を開講。従来の「単純に銘柄を指し示すセミナーや情報商材」とは一線を画す。累計5000人以上(2024年1月時点)の生徒に教えていくなかで、その独自の手法を応用し、株式投資だけでなくFX、CFD、日経225オプションまで指導範囲を拡大している。著書に『1億円稼ぐ空売りの極意』(ベストセラーズ)、『初心者でもザクザク儲かる! CFDかんたんトレード』(秀和システム)などがある。最新刊は『たかざわ式やさしい投資の家計簿術』(宝島社)。
一カ月にいくら使っているのか、即答できますか?
ちょうど高沢さんにお話を伺う前に、タレントのローランドさんが【イラっとしたときに心を落ち着かせる方法】という質問に対する答えが興味深かったのでご紹介します。ローランドさんは「何かイラっとするようなことが起きたときでも、それを難なく受け止められるだけの水を心の中にためておけば、そもそもイラっとしないし、したとしてもすぐに解消する」とおっしゃっていて。この「水」というのがイラ立ちを受け止めるクッション、つまりは余裕の比喩。その余裕の源になっているのが「時間の余裕を持つ、お金に余裕を持つ、愛情を受ける」の3つだと列挙されていて、なるほどな、と思いました。
たくさんお金が欲しいというわけではなくても、いつも気持ちに余裕がほしいもの。そんな余裕の作り方とは?
中央が高沢健太さん、左は事務局にいる岸井弘さん、右は樋口洋平さん。おかね塾の仲よし3人はつねにおしゃべりが絶えず楽しそう。
編集部 「まず、お金について日ごろから何も取り組んでいない人がすべきこと、を教えてください」
高沢健太さん(以下敬称略)「そうですね、まずは家計簿をつけて、自分が1カ子マネーやクレジットカードをメインにしている方が多いと思いますが、懐からお金を出した、という感覚がどうしても乏しくなるので、予想以上に使っているんですよね。まず、そこを見つめる必要があります。支出が減れば、当然お金は手元に残るわけです。なので、まずは無駄な支出をしていないかのチェックをしてもらいたいですね」
編集部 「さっそく耳が痛い話です。これって、毎日つけるような詳細な家計簿はかなりハードルが高いのですが……」
高沢「そういったものでなくても、まずは1カ月どれくらいの支出か、カード明細や電子マネーの決済を確認すれば分かりますよね。家賃や光熱費なども含め、出ていくお金を把握してください。そのときのポイントとしては、手で書き出すこと。『手で書く』という行為が大事です。アプリなんかでやる方法もたくさんありますが、書いたほうが一目瞭然となるし、実感が持てるんですよね。サブスクなども1カ月単位では数百円でも1年に換算すれば数千円になります。そういうものもちゃんとチェックして、不要な支出を手放していくことからスタートです」
編集部 「最新刊にも家計簿が付いてましたよね。分かりました。超怖いけど、やってみようかな。でもそうなっていくと、節約術のような話になっていくのでしょうか?」
高沢「いや、それももちろん姿勢としては大切です、『浪費をしない』というのはね。でもどうしても欲しいものや、削れない必要なものってありますよね。そういったものを無理に削ったり減額するように努力するのではなく、それらに支払ってもなお、お金を残すようにするということです。それにはどうしたらいいのかと考えることが、投資への第一歩です。例えば、読者の皆さんのメイン層でもある40代にもなると、老後の心配もある。
【ひと月分の収入―毎月の支出】で残った金額が【1カ月の貯蓄】となります。まず、この金額をしっかり把握します。そしてこの先、自分が何年稼げるかを考えれば、おのずと老後のために蓄えられる金額というのが算出できますよね。老後2千万円問題なんていうのが数年前に話題になりましたけれど、そういうことです。たとえば2千万円を目標値とするのであれば、そこにいくら不足するのかを把握する。自分が貯められた(貯められると想定される)金額が、この先の人生に必要十分な金額になっているのか、を自分で算出してください。足りていればOKですし、足りないようであればどうにかしなければなりません。通常の収入ではこれは将来的に足りないぞ、となったときに、その不足分を投資という手段を使って得ようじゃないか、というのが基本的なスタンスです。もちろん副業を考える方もいらっしゃいますよね。それはそれでもちろんいいんです。必要な金額が得られればいいのですから。投資や副業で、さらに不足分以上が手に入れられれば、余裕になりますよね。旅行に行ったりとか、楽しみに使えるお金です。必要なことだけをして日々をおくるのではなく、楽しく暮らしたいじゃないですか? それをみんなで勉強して生み出して、幸せになりたいなという発想で取り組んでいるのが、私が主催しているオンラインセミナーの【おかね塾】なんです。塾に入らなくても、著書を読んでもらえたら、基本的な考え方は共有してもらえるんじゃないかなと思っています」
高沢さんの最新刊『たかざわ式 やさしい投資の家計簿術』高沢健太著(宝島社刊)。お金に対する考え方を変え、クリアになる名著です。投資初心者の方にこそ読んでほしい1冊。かなり平易に書かれているので、中高生でも読みこなせますよ。
欲しいものをリストアップし、手持ちの金額と照らし合わせ購入するかどうかを決めます。サイコロを振って、出た目によっては不意の支出もある。最初は思うままに購入していた子どもたちが、何周かしていくと倹約するようになっていくのも興味深かったです。
編集部「なるほど、なんだか、明るい未来の話に感じられてきました(笑)。『こども食堂レインボー』でも子どもたちとのワークショップでおこづかいゲームをしていましたが、そこでも収入、支出、投資、残高を常に確認するような仕組みになっていて、投資が当たり前のこととして受け入れられるようになっていたのがいいなと感じました」
高沢「日本はどうしても金融教育というのが遅れていて、学校で何も教えないのに等しいですよね。だから、知らない。知らないものってなんとなく怖い、ってなるじゃないですか? でもそうじゃなくて、収入を得る手段の1つとして捉えてほしいなと思っています。皆さん職業を持っている方は、その専門分野について勉強したり、経験や修行を積んだりしますよね。それで給与をもらえる。投資も同じで、宝くじではないので、ただ当たる/当たらないを運に任せるものではないんですね。勝つためには勉強が必要なんです。その勉強の仕方、取り組み方を共有して、それぞれが取り組んでより負けない投資ができるといいなと思っています」
おこづかいゲームのルールは、お金を受け渡しする際は必ず両手で。お金を大切に扱うことを習慣化していくためにも、大切な作業。
編集部「なるほど。『負けない投資』と聞くと、初心者の私などはかなり安心します。バブル崩壊で痛い目を見た両親の様子を、覚えていたりするので……。最近、個別銘柄の株式投資をしている友人が子どもへの誕生日プレゼントに、その子が好きなゲーム会社の株を買って、投資を教えるきっかけにしているという話を聞いたのですが、どう思われますか?」
高沢「とてもいいですよね。やっぱり自分に興味のあるもの、ことじゃないと、なかなか情報を得ようという気持ちにならないし、やっていて楽しくないじゃないですか? たとえば、いつも愛用している化粧品会社があるなら、そこの株を買ってみる。まずみんなが知るような企業であればなかなか倒産もないですから、その点も始めやすいですよね。どういったときに選んだ個別銘柄の株価が上下するのか、それを注視していくと法則を発見できたりするんですよね。まずはそんなことから始めると分かりやすいんじゃないかな。そのためにニュースを見るようになったり、新聞を読むようになったり、世の中の動きに敏感になっていくんです。そうするとだんだん面白くなってきて、じゃあほかの化粧品会社も買ってみようとか、そこから広がったり、広がらないパターンの方もいますが(笑)、塾生さんを見ているとそれぞれの性格がすごく出て面白いですよ。投資っていうのは」
「私の開講しているおかね塾は、わりと大学のゼミやサークルをイメージしていただくと分かりやすいかな。勉強会もしますが、有志で魚釣りの部活動みたいなことをしたり。果樹を育ててている農園を持っているのですが、そこの収穫をしたりとか。投資という共通言語があるので、年齢性別関係なく仲よくなれますし、収穫しながら株価の動きの話をしたりとかね、楽しいですよ。オープンにお金の話をするっていうのが、恐らく他の環境だとなかなかないですよね。そうして、お互い知識を深めあったり、情報交換できるようにしています。一人でお金もうけしてても、つまらないじゃないですか? やっぱり、誰かと一緒に楽しめるほうが、数倍豊かな気持ちになりますよ」
【こども食堂レインボー】主催の木津明子さんと高沢さん。近日公開のこども食堂レイボーYouTubeチャンネルでお2人の対談も見られますよ!
編集部「今日はご一緒にお手伝いに来ていらっしゃる受講生の方もいらっしゃるので、せっかくなのでお話を聞かせていただきましょう」
樋口さん「僕は会社の先輩に子どもができたタイミングで、これから家族を養っていくためにも資産運用が大事だからと、誘ってもらったのがきっかけです」
編集部「ええ~! なんていい先輩!」
樋口さん「そうなんですよ。すごくオープンな塾なので、そういう感じでフランクに誘ってくれたんだと思うのですが、そこからですね。仕事が終わって家に帰っても、携帯見たりしてだらだらと時間を溶かしてしまうことが多かったので、そんなことをしているなら勉強でもしたほうがいい、という軽い気持ちで始めました。始めてみると思った以上に楽しいし、受講生の方はやっぱりご年配の方も多いのでお話も勉強になることが多いし、先生が明るく、気取らない方なんでやっぱりただ楽しくって続けちゃってるっていう感じです。初心者コース(現在は募集休止中)から入って、どんどんコースを上げていって……という感じですね。先ほど話にも出た釣り部にも入っていますし、農園の収穫も大変なんですけど、めちゃくちゃ楽しいですよ」
編集部「資産運用のほうはどうですか?」
樋口さん「おかげさまで(笑)。僕はコーヒーが好きなので、コーヒー関連の銘柄を買ってみたりとかもしています。何もしないよりははるかに充実するようになりましたね。投資は勝ったり負けたりですが、負けるときって必ず先生の教えの何かを省略しちゃっていたり、焦っちゃっているときなんですよね。そうやって振り返っては日々反省したりしています」
岸井さん「僕は以前勤めていた会社を辞めて、こちらの事務局に入って働いている側なのですが、前職の時代に塾に入って投資をスタートしました。会社を辞めるという決断ができたのも、投資という、言わば収入を得る手段を持っていたからだなと思うので、人生を選択していく上での強みになりますよね。お金のために身動きが取れなくなるのって、やっぱり悲しい。そんな経験があるからこそ、皆さんにも勉強してほしいし、一緒に楽しくおかねの話ができたらいいなって強く思いますね」
とにかく今の自分を見つめることが第一歩、という現実を突き付けられもしましたが、それはネガティブなことではなく、可能性を広げていくお話だったので、伺っていて楽しかったですし、前向きな気持ちになりました。早速筆者も支出の見直しに取り組んでいます。なんとなく、朝に行うのが暗い気持ちにならなくてオススメです(笑)。現在はおかね塾の塾生の新規募集は中止しているので、興味を持った方は開講のタイミングをチェックしてください。
otona MUSE K
EDITOR
37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。